国内で正式発売されたMediaTekチップ採用のスマートフォン

日経テクノロジーOnlineに「MediaTek台風、ついに日本上陸!「安ければよい」の風潮に一抹の不安」という記事を見つけた。

液晶TVなど一部の家電では、MediaTek社のチップを搭載した製品がすでに国内で流通している。だが、スマホの部品という形でMediaTek製チップが日本国内で使用されるのは、個人輸入などを除くと、今回ご紹介する「Geanee(ジーニー)FXC-5A」が初めてと思われる。

・・・どうやら、私がいまいる時空とは異なる日本にお住まいの方らしい。

とりあえず、私がいま思い出せる範囲では、日本国内で正規に発売されたMediaTekチップ採用のスマートフォンとして、以下のプロダクトを認識している。

MT6577搭載機
2013/04 Covia:FleaPhone CP-D02
2013/11 freebit PandA 1st lot
2013/11 RWC:Alcatel ULTRA 6033M

MT6572/MT6572M搭載機
2014/05? RWC:X-RIDE FT351
2014/07 メガハウス:fairisia
2014/09 Geanee:FXC-35

MT6582/MT6582M搭載機
2014/06 ポラロイド:PolaSma(ポラスマ)
2014/06 TJC:StarQ Q5001
2014/07 Geanee:FXC-5A
2014/07 ポラロイド:LINEAGE
2014/08 freebit:PandA 3rd lot(たぶん)
2014/09 freelel:freetel nico
2014/12 Covia:FLEAZ F4s(CP-F40S)
2014/12 freelte:freetel priori2

つまりは、Geanee FXC-5Aって結構後発組。

freebit PandA 1st lotにだけリンクをつけてませんが、これは、現在の公式ページ上に1st lotに関する記述が発見できなかったためです。
なお、2014/03に2nd lot(Quad 1.2GHz)、2014/08に3rd lot(Quad 1.3GHz)に切り替わっています。(参考資料1,参考資料2)

それにしても、

だが同社は中国の模造品端末の屋台骨を支える代表的なチップメーカーであり、「模造品の帝王」とも呼ばれている。そうした企業のチップを使った中国製スマホの国内使用を許可する際には、一般的な検定に加えて、「隠れた脅威」の調査にもう少し手間をかける必要がないだろうか。

とりあえず、隠謀論で不安がらせる。

通信用チップセットメーカー大手のQualcomm社でさえ、一時期はクアッドコアプロセッサーの量産に苦労した。それを模倣したMediaTek製プロセッサーの性能は推して知るべしである。ある原価調査によると、スペック上の性能が同じ場合、MediaTek製プロセッサーの価格はQualcomm製の半額だという。両社はファブレス企業であり、製造は台湾TSMCに委託していると言われる。製造プロセスは似ているかもしれないが、設計はまだまだ遠く及ばないのだろう。

「模倣したから性能は推して知るべし」とか「設計はまだまだ遠く及ばないのだろう」って、著者の推論であるにも関わらず、それを裏付ける記述は一切なし。
だいたい、性能を言うんだったら、ベンチマーク比較すりゃいいのに、なんで、この機械動作させてるところ見せないの?

Gianee FXC-5Aも同様で、標準サイズのSIMカードスロットとMicro SIMカードスロットが搭載されている。2つ目のスロットを目立たないMicro SIMにしたのは、多少なりとも日本の実情に合わせようとした痕跡なのだろうか。

「日本の実情に合わせようとした痕跡」でいうところの「日本の実情」って何のことをさしているのか、MVNOに詳しくない一般的な読者には分からないと思うんですが。
(おそらくは、MVNOのSIMとして、「標準サイズのSIM」と「MicroSIM」のそれぞれが流通しているので、どちらでも使いやすいように、ということを「日本の実情」と言いたいんだと思いますがね)

Qualcomm社の技術を模倣したことで、中国製スマホもスペック上の性能は立派になった。

MT6577までであれば、その言説は通ったと思いますが、MT6582(4コア),MT6572(2コア)以降は模倣ですかねぇ?
(注:実は、MT6577とMT6582の間にはMT6589があったんだけど、それはいろいろびみょーだったので除外)

とはいえ、分解調査を通じて中国製スマホやMediaTek製チップと長年付き合ってきた筆者は、「安いですね~」というだけで歓迎する風潮に一抹の不安を感じる。できることなら戦艦大和のごとく、純国産技術の粋を集めた通信機器を作る時期ではないかとも思うのである。

そして、できあがったモノは、価格も高く、誰も買わずに沈没して、「時代の変化について行けずに登場した戦艦大和のような最期だった」と言いたいわけですね。


以下は、おまけ的なもの・・・

この著者は、全体的に、MediaTek憎し、の感情で記事を書いているようで。

MediaTek製部品の占有率が高い。指示通りに組み立てれば、初心者でも製品を作ることが可能となる。これが中国で模造品市場が拡大する一因となっている

という一面的な書きようが目立つ。
ここの部分は、「MediaTek製部品の占有率が高い。指示通りに組み立てれば、初心者でも製品を作ることが可能となる。これが中国、インドなどで$100以下、場合によっては$50以下でスマホが販売される一因となっている」という書き方もできる。
また、模倣品より、低スペックの$50以下スマホ市場が、MediaTekによって広まっていることを書いた方が、啓蒙する、という意味でもいいはずなんですがねぇ・・・

主力の理工系では、情報通信機器からエアコンまで多種多様な製品の分解調査や分析、原価計算を行う。

という割に、なぜか、この記事では、原価計算っぽいのをしておらず、全て憶測レベルで終わっている。

ここまでで上げてないところで言えば・・・

Geanee FXC-5Aのディスプレーは5インチで、今どきのスマホ並みに大きい。ただし、ディスプレーはQuarter HD(960×540)で、ハイエンド端末のフルHDと比べて2クラスほどグレードが下である。これだけでパネル価格は半分程度まで下がる。中国地場のパネルメーカーの製品であれば、価格はさらに下がるだろう。

で、この製品が使ってるのは、どこの液晶パネルメーカのものなんでしょうか?

プロセッサーは4つの処理系統を持つクアッドコアであるが、これと連動するDRAMの容量は512Mバイト。クアッドコアプロセッサーのスマホが通常搭載するDRAMの容量と比較すると、4分の1程度である。イタリアFerrari社の大排気量エンジンに軽自動車のマフラーを使うような感じで、バランスがいいとは言えない。

メモリのサイズから見た印象論だけで、この機種についての具体的な話ではない。

中国製スマホの特徴のひとつに、SIMカードスロットを2つ搭載した「Dual SIM」がある。国土の広い中国では単一の通信事業者が全土をカバーできないため、Dual SIM方式で異なる通信事業者のSIMカードを2枚使用して、その場で使える回線を選択することが一般的なのだ。

コレ、ほんとなの?
一昔前はそうだったらしい、というのはありますが、最近もそうなんですかねぇ?


というコメントをいただいております。

もう一つの中国製スマホの特徴、前世代の組み立て技術も健在である。その典型が、バイブレーターを基板の上に直接実装していること。電子部品がギッシリ詰まったメイン基板上でバイブレーターが振動するという、ちょっと問題のある実装になっている。

これにより、コストダウンがはかられている、という要素をなぜか重視していない。
「こんな構造してるから安いんだ」とストレートに書けばいいのに、言及を避けている。

全体的にみて、この著者の知識が古いままで、更新されていないのではないかという疑念がわいてくる内容です。


MT6572搭載機

MT6582搭載機

CSuploadなんて無かった!(Azureに仮想マシンイメージをアップロードする方法

Microsoft Azureに仮想マシンイメージをアップロードしようとした。
ぐぐったら、CSUploadというコマンドを使うらしく、Azure SDKをインストールすればいいらしい・・・

Azure SDKをインストールして、実行!

PS C:\> CSupload
CSupload : 用語 'CSupload' は、コマンドレット、関数、スクリプト ファイル、または操作可能なプログラ
れません。名前が正しく記述されていることを確認し、パスが含まれている場合はそのパスが正しいことを確
てください。
発生場所 行:1 文字:1
+ CSupload
+ ~~~~~~~~
    + CategoryInfo          : ObjectNotFound: (CSupload:String) [], CommandNotFoundException
    + FullyQualifiedErrorId : CommandNotFoundException

PS C:\>

そんなコマンドは無いらしい。

気を取り直して公式系情報を探す。

Create and upload a Windows Server VHD to Azure

「Add-AzureVhd」コマンドを使うようだ。

固定長で作成したWindows7 64bit評価版のインストール済みvhdファイルを指定して実行。

PS C:\> add-azurevhd

コマンド パイプライン位置 1 のコマンドレット Add-AzureVhd
次のパラメーターに値を指定してください:
(ヘルプを表示するには、「!?」と入力してください。)
Destination: http://~.blob.core.windows.net/images/win7-64.vhd
LocalFilePath: C:\Users\Public\Documents\Hyper-V\Virtual hard disks\win7-64.vhd
MD5 hash is being calculated for the file  C:\Users\Public\Documents\Hyper-V\Virtual hard disks\win7-64.vhd.
MD5 hash calculation is completed.
Elapsed time for the operation: 00:07:35
Creating new page blob of size 21474836992...
Detecting the empty data blocks in the local file.
Detecting the empty data blocks completed.
Elapsed time for upload: 00:32:17

LocalFilePath                                               DestinationUri
-------------                                               --------------
C:\Users\Public\Documents\Hyper-V\Virtual hard disks\win... http://~.blob.core.windows.net/images/win7-6...


PS C:\>

ネットワークの転送量を見ていると、「Detecting the empty data blocks in the local file.」から「Detecting the empty data blocks completed.」までが案外長い。
動いてるのかなぁ?と悩むぐらいに。(注:転送前にローカルのVHDファイル内の空きブロック検出して、送らなくてもいい部分を探しているので、時間がかかっている)

転送終了後、無事、仮想マシンの新規作成にこのイメージが使用できる、ということを確認できました。

Windows上でX-Windowアプリを表示するためのXサーバ VcXsrv

Windows上でX-Windowsアプリを表示させるために使うXサーバソフトウェアとして、「Xming」が有名である。

しかし、Xmingの最近のバージョンは寄付者向けリリースのみとなっている。
他にないものか、と探してみると「VcXsrv Windows X Server」というものがあった。

こちらは、Visual Studio 2013 Express Editionでコンパイルされており、64bit版バイナリも提供されている。
また、sourceforge githubにて、ソースコードも公開されているので改造することもできる。

とりあえず、インストールしてみて、Xmingと使い比べてみたところ、思いの外、VcXsrvは好成績だった。

比較手法としては、VcXsrvを:0で起動し、Xmingを:1で起動し、他のLinuxサーバ上から、同じアプリをそれぞれ表示させる、というものを取ってみた。

「gnome-terminal」
terminal
左:VcXsrv、右:Xming

Xmingは小さく表示されてしまっている。
また、タスクバーの表示は下記のようになる。
taskbar
左:VcXsrv、右:Xming、(真ん中:コマンドプロンプト)

VcXsrvはアプリのアイコンがきちんと表示されるが、xmingでは「X」のアイコンで代用される。

「firefox」
VcXsrvの場合
vc-firefox

Xmingの場合
xming-firefox

VcXsrvの場合、タイトルバーもきちんと表示されている。
Xmingでは表示できていない。


2024/08/22追記

githubでの公開に切り替わっていた https://github.com/marchaesen/vcxsrv

Windows10,Windows11のwingetコマンドでもインストールできるようになっているので「winget install marha.VcXsrv」でインストールすることもできる。

C:\Windows\System32>winget search vcxsrv
名前   ID           バージョン ソース
--------------------------------------
VcXsrv marha.VcXsrv 1.20.14.0  winget

C:\Windows\System32>winget install  marha.VcXsrv
見つかりました VcXsrv [marha.VcXsrv] バージョン 1.20.14.0
このアプリケーションは所有者からライセンス供与されます。
Microsoft はサードパーティのパッケージに対して責任を負わず、ライセンスも付与しません。
ダウンロード中 https://sourceforge.net/projects/vcxsrv/files/vcxsrv/1.20.14.0/vcxsrv-64.1.20.14.0.installer.exe/download
  ██████████████████████████████  40.8 MB / 40.8 MB
インストーラーハッシュが正常に検証されました
パッケージのインストールを開始しています...
インストールが完了しました

C:\Windows\System32>

Windows Serverを複数ユーザで利用時、各ユーザ毎にXmingを起動しTeraTermを使う手法

Windows Serverにリモートデスクトップ(RDP)でログインし、そこからTeraTermを使ってLinuxサーバにログインする、って運用をしてるところは結構あると思います。

で、X-Windowのアプリを表示したい時に、フリー版のXmingを使おうとしたら、思うように使えない、という事態になったりします。

フリー版のXming ver6.9.0.31を普通にインストールすると、そのショートカットは、全ユーザ共通で、Xサーバを「:0」で起動する設定になっています。

このため、Windows Server上で誰かがXmingを起動すると、他の人は番号競合のためXmingを起動できなくなってしまいます。

回避方法は簡単で、番号が被らないようにXmingを起動する、ということです。

Xmingの標準ショートカットは以下のものです。

"C:\Program Files (x86)\Xming\Xming.exe" :0 -clipboard -multiwindow

これを、例えば「:1」で起動する様に変更します。

"C:\Program Files (x86)\Xming\Xming.exe" :1 -clipboard -multiwindow


(ちなみに、「:51000」とかでも起動し動作しました)

また、この設定の場合、SSHを使ったX11 forwardingを使った場合は表示できますが、Linuxサーバ上で「export DISPLAY=WindowsサーバIP:1.0」といったような形で表示させようとした場合、拒否されてしまいます。

そういった場合は下記の様な形で「-ac」オプションをつけます。

"C:\Program Files (x86)\Xming\Xming.exe" :1 -clipboard -multiwindow -ac


(-acは、アクセスコントロールをしない、という設定なので、予期しないホストからXアプリが飛んでくる可能性はありますが、まぁ、気にしない、ということでこの設定にしています。)

なお、最近、一般向けには公開されていないXmingではなく、VcXsrvを使う場合でも、オプションは同様になります。(VcXsrvについては「Windows上でX-Windowアプリを表示するためのXサーバ VcXsrv」を参照のこと)

で・・・これで解決かといえば、そうでもありません。

Tera TermのSSHポート転送の機能に、「Xクライアントアプリケーションの転送」という項目があります。
これは、SSH X11 forwardingとも呼ばれる機能で、Linuxサーバ上ではlocalhost扱いなんだけど、実際には、SSHを使用してWindows上に表示される、というものです。

Tera Termの場合、下記の様にON/OFFのみが選択できます。
teraterm

この場合、Tera Termでは、Windows上のXサーバの「:0」に対して画面を出力しようとします。

このため、せっかくXming側を複数立てても、「:0」を起動させている人のところにXアプリの画面が集まってしまいます。

(以下は、2015/03/02に修正)

回避方法は3つ。

その1:指定できるputtyを使う
出力先をGUIで設定できるputtyを使用する。
設定は下記のX display locationに例えば「:1.0」と入力します。
putty

その2:環境変数でDISPLAYを指定してTeraTermを起動する
version 4.86(2015/02/28リリース)より前のTera Termの場合、TeraTermの起動方法を工夫することで指定ができます。

標準の設定GUIでは設定できませんが、Windowsのコマンドプロンプトで環境変数DISPLAYを設定することによって、出力先を指定することができるようになっています。
(機能追加要望を出したら教えてもらった)

なので、以下のようなバッチファイルを書くと、指定したところにXアプリが出力できるようになります。

@echo off
set DISPLAY=:1.0
"C:\Program Files (x86)\teraterm\ttermpro.exe" Linuxサーバ名 /ssh-X

その3:TeraTermの起動オプションで指定する(ver4.86以降)
TeraTerm ver 4.86から、/ssh-Xオプションが拡張され、DISPLAYを指定できるようになりました。
(TeraTermのマニュアル)

以下の様な形で「/ssh-X」の後にスペースを入れず、連続して出力先を記述します。

"C:\Program Files (x86)\teraterm\ttermpro.exe" Linuxサーバ名 /ssh-Xlocalhost:1.0

DynDNSの仕組みが若干変わった

2023/07/10追記

この記事で触れているddclientですが、2023年7月5日付けで更新終了となりました。

代替としてinadyn , dnsupdate が紹介されていました。


昔はDynDNSと呼ばれていた「Dyn」というDNSサービスがあります。

固定じゃないIPアドレスでも、特定のホスト名でアクセスできるようにしてくれるRemote Access(DynDNS)を、以前は無料で提供していました。
今は、年25ドルになっています。

が・・・実は、無料だった当時、寄付をすると上位サービスにアップグレード、というキャンペーンをやっていました。
このアップグレードしたユーザは、現在も、無料で使えていたりします。

それは、さておき、Dynに久々にログインしてみたところ、以下の様にお知らせが出てきました。

login

You have not generated an updater client key!
Please generate a key for use with update clients to help keep your account credientals secure.

いままで、DynDNSに登録したIPアドレスを変更する際、クライアントソフトにユーザ名/パスワードを登録して行っていたものを、Dynの管理画面でクライアントキーを発行し、それをクライアントソフトに登録する、という形に変更したようです。

が・・・Linuxの場合、Dynのクライアント一覧に掲載されているソフトが、GUI環境向けの「Dyn Updater for Ubuntu Linux」だけがクライアントキーに対応していないように見えるのは気のせいか??
(2014/09/25リリースのver5.2に「Support secure update key for account.dyn.com in place of account credentials.」とある)

ddclient」の方は、2013/12/26リリースのver3.8.2が最新のようで、まだ対応していない。

そんなわけで、新しい仕組みができたけど、まだ使えない、という微妙な感じになりました^^;;;