SSD/HDDのハイブリッド型RAIDのNimble StorageがFibre Channelにも対応+ここ1年の動向


このblogで何回か話題にしている、SSD/HDDのハイブリッド型RAIDの「Nimble Storage」ですが、いままでiSCSIのみの対応だったものが、Fibre Channelにも対応しました。

公式リリース:Nimble Storage Advances Adaptive Flash Platform: Releases Fibre Channel Storage Arrays(2014/11/18)


まず、最近のNimble Storageの状況について解説。


・日本での取り扱い状況
現在、日本でのNimble Storageの取り扱いは、東芝が主体となり、製品販売および保守サポートが行われています。
東芝クラウド&ソリューション Nimble Storage」に日本語製品ページを用意し、本家のInfosight(サポートページ)で公開されている英語文書を日本語訳した文書など、いろいろ公開してくれています。

販売代理店もぼちぼちと増えていっています。
一部、Tintri VMstorと重なっていたりするとことが興味深かったりも・・・


Nimble Storageの性能は、ぶっちゃけて言えば、CPUとメモリを使ってぶん回し、SSDとHDDをうまいこと使っていく、という力業で解決する方向性です。
なので、新しいCPUが出て、それで劇的な改善が見込まれそうだな、となると、新機種になるわけです。

ということで登場したのが、以下のシリーズ。
Fibre Channelをサポートするのもこの機種群からになります。

・CS215
最低ラインのモデルで、パフォーマンス基準モデル。
SSD 80GB*4,HDD 1TB*12、という構成。SSDのサイズを変えることはできる。
CS210という、HDD/SSD容量をさらに減らしたモデルもあるがパフォーマンスは悪くなるので注意。
拡張筐体は1台までしか接続できない。
CS210/CS215のみ、iSCSIのみで、Fibre Channelをサポートしない。
上位モデルへアップグレードできない、というあたりを鑑みると、旧シリーズの流用かな、と推測される。

・CS300
CS215の1.6倍IOPSを提供できるモデル。
SSD 160GB*4,HDD 1TB*12構成から始まり、HDD/SSD容量を増やした構成も可能(最大SSD 800GB*4/HDD 4TB*12)。
拡張筐体を6台まで接続できる。
All Flash構成にすることも可能。

・CS500
CS215の5倍のIOPSを提供できるモデル。
SSD 300GB*4,HDD 1TB*12構成から始まり、HDD/SSD容量を増やした構成も可能(最大SSD 1.6TB*4/HDD 4TB*12)。
拡張筐体を6台まで接続できる。
All Flash構成にすることも可能。

・CS700
CS215の7倍のIOPSを提供できるモデル。
SSD 300GB*4,HDD 1TB*12構成から始まり、HDD/SSD容量を増やした構成も可能(最大SSD 1.6TB*4/HDD 4TB*12)。
拡張筐体を6台まで接続できる。
All Flash構成にすることも可能。

・4xCS700
CS700を4台組み合わせたセット販売
4台あっても、Nimble Storageの機能で1台のように管理利用できる。

なお、CS300/CS500/CS700の筐体は同一であり、コントローラ部分が違うだけなので、コントローラ交換によるアップグレードが可能になっています。


で・・・次に、Nimble StorageのOS基本機能の更新について。

まず、日本に入ってきたのは、Nimble OS 1.4.7ぐらいの段階です。
そこから最近までの更新内容と言えば・・・

・Nimble OS 2.0
複数台のNimble Storageを1台のように取り扱えるGroup機能と、Groupの中でストレージ容量管理を行う為のStorage Pool(Multi Array Group/Pool)機能の導入。
Windowsでの若干面倒なiSCSIマルチパスの設定をやってくれるWindowsToolKit(Nimble Connection Manager)の提供。

・Nimble OS 2.1
tag VLANサポート。
All Flash構成のサポート。
HDD部分のRAID構成変更。「ソフトウェアRAID6(パリティ2本)+スペア1本」から「ソフトウェアRAID(パリティ3本)+スペア無し」へ。
おそらくInfosightで収集したHDD故障率と故障時の対応状況からのリスク、と、ディスク本数を増やすことによるアクセススピードの向上を比較した上で、この結果になったのだと思われる。
管理用ユーザアカウントの導入。2.0まではadminしかなかった。

・Nimble OS 2.2
Fibre Channelをサポート
Microsoft SCVMMへの統合機能サポート。

こんな感じで進化していっています。
上記には書いていませんが、VMwareとの連携については、Nimble OS 1.4時代からサポートしています。


ようやく、本題。
Nimble OS 2.2でのFibre Channelサポートについてです。

仕組み上は既存モデルでもできるとは思うのですが、製品戦略上・・・というか、そもそも、PCIeスロットが空いていないので、既存モデルは対象外となっています。

iSCSIストレージとして可能であったことでも、Fibre Channelストレージになると実現不可能、ということがあるため、「iSCSIストレージとして使う場合」と「Fibre Channelストレージとして使う場合」でサポートされている機能が若干違います。
基本的にはiSCSIストレージの方がいろいろできます。

Fibre Channelストレージとして使用する場合に利用できない機能としては、以下があります。
・FibreChannelでのMulti Array Group/Poolは非サポート
  複数のNimbleStorageを組み合わせ1つのストレージとして使う機能は
  FibreChannelでは使用できません。

・1つのボリュームをiSCSIとFCで共有することは非サポート
  1つのボリューム(LUN)に対して、iSCSIアクセスと、FCアクセスを同時に有効にすることはできません。
  ボリュームの設定として、「iSCSI」か「FC」のどちらか1つを選択する必要があります。
  2014/11/25修正:なお、一度設定したあとに、切り替えることは可能です。現状、販売時に「iSCSIモデル」か「Fibre Channelモデル」かを選択する必要があり、購入後に変更はできない、とのこと。今後については不明です。

この組み合わせはサポートされている、と書いてあって意外だったのは、レプリケーションについてです。

・レプリケーションの送りと受けでのプロトコル違いをサポート
  送り側: iSCSI、受け側:FibreChannel、というのをサポート。
  なお、レプリケーションの伝送には、従来通り、TCP/IPを使用します。

まぁ、FibreChannelについては、機能がついて間もないので、パフォーマンス事例見当たらないので、情報が出てきてから本番かな・・・といったところですね。

Nimble Storage CS700とAll-Flash構成が登場


HDD+SDDのハイブリット型iSCSIストレージのNimble Storageに新機種CS700と、All-Flash構成が登場したようです。

リリース:Nimble Storage Redefines Storage Market With Adaptive Flash Platform

4xCS700という最大のクラスタ構成+All-Flashにした場合に、500,000 IOPSを提供するという、CS700というモデルと、それに使用するAll-FlashエンクロージャES1-AFSがリリースされました。

単体のCS700としては、CS400シリーズの2.5倍速い、とうたっています。
adaptive-flash6

公式のスペック情報など出ている限りの情報を確認してみたところ、CS700のスペックとしては、以下の様な感じです。

・CS400シリーズの2.5倍速い
・ストレージ容量などはCS460相当
・ネットワークポート数が変更
標準 1Gb*2ポート
増設 「10Gb-T*4ポート」or「10Gb SFP+*4ポート」

1Gbで使うことは想定されなくなった模様・・・まぁ、この高スペックを1Gbで使うというのは、意味が無いですからね。

ただ・・・スペック情報ページに「It delivers up to 2.5x the performance of the CS400 series.」と書いてあるのに、上にも引用している画像では、どう見ても2.5倍無いんだけどなぁ・・・

All-Flashエンクロージャの方は全然情報がない。
CS700に接続できる、というのは、ほぼ確定ですが、それ以外のモデルに接続できるのかどうか、というところ。

おそらくは、現在RC版のNimble OS 2.1か、その次のバージョンあたりがAll-Flash対応のOSになるんだろうけど、果たしてどうなるのか?
少なくとも、現状公開されているNimble OS 2.1のマニュアルでは、記載を発見できませんでした。
PDFカタログの書きようをみると、全モデルで使えそうな感じもします・・・

PDFカタログに「Max Flash Capacity with All-Flash Shelf (GB)」という欄がありました。
CS2xxシリーズは、All-Flash非対応
CS4xxとCS700がAll-Flash対応、とのこと。

Nimble Storageの総代理店権を東芝が持ってった


2018/02/21 追記
このページ、いまも時々アクセスされているので、その後のことを書いておきます。

東芝が日本の総代理店ではなくなってやりやすくなった!
と思った矢先にHPE買収、なんて事態になりました。
HPEのプロダクトとしてやっていますが、果たして、今度、どうなることやら?


いままで何度か紹介しているSSD/HDDハイブリッド型のストレージNimble Storage。
10月にアセンテックが日本での取扱を開始した。

で、1月から本格的にいろいろ動き出すはずだったのが、いろいろスローダウン・・・

その原因が一昨日発表に・・・
東芝「米・ニンブルストレージ社と日本における総代理店契約を締結

えぇ、東芝が日本国内の総代理店権を持っていったのです。

まぁ、夏頃から、東芝ITが保守やるのかなぁ?という感じのアクセスログがあったりしたので、保守レベルが上がるんじゃないかと想定される、というのはいいんですけど、
早いところ、いろいろ済ませて欲しいところです。

うちの過去記事リスト
2012/08/06:Nimble Storage
2013/05/21:SSD+SATAのハイブリッドストレージ Nimble Storageについて調べてみた
2013/10/30:Nimble Storageの日本代理店が発表になったようで
2013/11/08:Nimble Storageについていろいろ調べたこと 2013/11/08

さて、これだけしかないのもなんなので写真でも入れときますね

外観1

裏面はこんな感じ
裏面1

Nimble Storageについていろいろ調べたこと 2013/11/08


vForum2013 TOKYOにNimble Storageが出てたので、いろいろ確認してみた。
あと、マニュアルも入手したので、そこで調べた疑問点も列挙してある。


・海外事例を見るとパフォーマンス増強のために
 コントローラアップグレードがあるようだが
 日本でも提供するのか?

日本でも提供する予定だが、提供方法に関して詳細が決まっていない。

なお、アップグレードには2種類ある。
・Scale performance
・Scale cache

「Scale performance」はコントローラのアップグレードで、これは、マザーボードを丸ごと上位機種のものに入れ替えることになる。
Nimble Storageは「CS2x0用CPUを1つ積んだマザー」と「CS4x0用CPUを2つ積んだマザー」がある。
このため、「Scale performance」が適用できるものはCS2x0シリーズのみとなり、アップグレード後は「CS4x0」になる。
片コントローラずつ交換することでオンライン交換が可能。

「Scale cache」はSSDの容量増加である。
Nimble Storageでは、SSDを4本使用している。
この4本のSSDを交換し、容量を増加させることでパフォーマンスを上げる。
交換し、一時的にReadパフォーマンスが劣化するが、オンラインのままで行うことができる。
ちなみにSSDはslot7~10にあるが、slot7から順に交換する必要があるらしい。


・「Scale performance」の効能は?
CPUリソースや搭載メモリ(DRAM)が増加することにより、ランダムI/O・シーケンシャルI/Oのスループット増加が見込める。
いろんなボトルネック要素に対して効果がある。

・「Scale cache」の効能は?
Nimble Storageでは、SSDはRead cache目的で利用している。
このため、SSD容量の増加は、よく使われるデータが多い場合に有用である。
逆にSSDの利用率が低い場合は、効果が薄い。


・Firmwareってどんな感じなのか?

一般向けGAリリースの最新は2013/07/29リリースのv1.4.7.0。
(その1つ前は2013/04/12リリースのv1.4.6.0)
次期バージョンとして、v2.0系列の開発が進んでおり、2013/11/04にv2.0.5.0がリリースされているが、まだβ扱いとなっている。


・複数のNimble Storageを1つのように使うのってどんな感じなの?
実はv2.0からの新機能で「Group」という名称のクラスタ機能です。

1つのNimble Storageをマスターとして、その配下に他のNimble Storageをおく、というようなイメージになる。
システムの停止は必要となるが、運用中の「複数のNimble Storage」または「複数のGroup」を、ディスクの中身はそのままに統合することもできる。

ちなみに管理画面上は下記の様になる。
nimble


・ボリュームの最大数は?
255個作成可能。

・snapshotの最大数は?
ボリューム毎で最大1000、システム全体で10000まで作成できる


・実現できるレプリケーションの種類は?
基本的には、1volume→1volumeの内容丸ごとコピーのレプリケーション。
帯域制限をかけることもできる。
同期/非同期/スケジュール同期、といった設定はなく、「非同期」相当のみ。

・指定できる帯域制限の種類は?
月,火,水,木,金の8:00~19:00は、1Mbpsに制限
といった「曜日」と「時間帯」を指定した、帯域制限をかけることができる。
この指定は複数おこなうことができる。


・シリアルコンソールがある
アクティブ側のコントローラにのみシリアルコンソールログインができる。
初期設定やfirmwareアップデートをシリアルコンソールから行うことも可能。

Nimble Storageの日本代理店が発表になったようで


2012年8月に紹介したNimble Storageですが、このたび、アセンテックが国内総代理店として取り扱うことが決まったようです。

・プレスリリース:アセンテック、ハイブリッド型ストレージシステム 「Nimble Storage」の国内販売開始
アセンテック Nimble Storage製品ページ

春ぐらいからNimble Storageの日本上陸に関する話がちらほらあり、うちの記事がNimble Storageに関する唯一の日本語記事ということもあって、サポートとかを担当しそうないろんなベンダさんのIPアドレスから、アクセスがいろいろあったのがなかなかおもしろかったですね。
(もちろん、アセンテックさんからのアクセスも結構ありました。というか、参考にしたんだから謝礼くださいw)

過去記事の紹介
Nimble Storage(2012/08/06)
SSD+SATAのハイブリッドストレージ Nimble Storageについて調べてみた(2013/05/21)
ネットワークストレージ業界の標準ハードウェアSupermicro 6036ST-6LR(2013/05/15)

Nimble Storageについて知りたい人は、2番目の記事(SSD+SATAのハイブリッドストレージ Nimble Storageについて調べてみた)。

要約
・汎用的に使えるiSCSIストレージ
・SSDはReadキャッシュとして使用する
・書き込みの高速化は「データの圧縮」と「バッファ蓄積による書き込みのシーケンシャルWrite化」などで実現
・SSDは壊れても大丈夫な構成(実データは全てHDD上にある)
・VSS(Microsoft)やSRM/VAAI(VMware)などの連携プラグインも提供済み
・筐体間レプリケーションもサポート
・Nimble Storageの筐体はSupermicro 6036ST-6LRを採用