auとiPhone5


iPhone5がauから出るなんて話が白熱してきてますね。

アメリカでCDMA2000を採用しているVerizonからiPhone4が出た、というときも、同じCDMA2000採用してるんだから、auからも出るはず!
なんて論調がありましたっけ。

実際のところ可能性としては、どうなんでしょうか?
WCDMA陣営では、国や携帯電話会社によって周波数帯域が異なり、その違いを「Band」として区別しえいる。
例えば、日本では、ドコモがBand I(2100MHz), Band VI(800MHz/FOMAプラスエリア), Band IX(1700MHz/東名阪のみバンド)、ソフトバンクがBand I(2100Mhz), Band XI(1500MHz/主にデータ通信用)、イーモバイルがBand IX(1700MHz)を採用している、と言ったところです。

じゃぁ、CDMA2000陣営ではどうなんでしょうか?
日本では、auのみが採用しており、以下の様になっています。
Band Class 0のBand Sub Class 2: au 新800MHz(up:824-830/down:869-875MHz)
Band Class 0のBand Sub Class 3: au 新800MHz 2012年以降の拡張予定地(up:815-830/down:860-875MHz)
Band Class 3: au 旧800MHz(いわゆる、上下逆さまの800MHz帯)(up:887.0-925.0/down:832.0-870.0)
Band Class 6: 2GHz帯(up:1920.0-1980.0/down:2110.0-2170.0)

では、アメリカのVerizonはどこを使っているのか?
Band Class 0のBand Sub Class 0: 800MHz帯(up:824.70-848.31/down:869.70-893.31)
Band Class 1: 1900MHz帯(up:1851.25-1908.75/down:1931.25-1988.75)

Band Class 0が被っていそうな感じです。
が、問題が3つあります。
1つめは「Band Class 0のBand Sub Class 0」とあるように、同じBand Classであってもバリエーションが存在しているのです。
このため、日本で使うには、ちゃんとBand Sub Classの「2」と「3」に対応している必要があるわけです。

これ似たような問題は、WCDMAのBand V(850MHz), Band VI(800MHz), Band XIX(800MHz)でもあります。
周波数帯域的にはBand V(850MHz)の範囲内に、Band VI(800MHz)とBand XIX(800MHz)がありますが、携帯側でちゃんとBand VI/XIXを認識するように設計をしていないと使用できないのです。

2つめは、いま公開されているスペック上ではiPhone4は、CDMA2000のBand Class 6(2100MHz)に対応していないので、帯域的に大変なことになりかねないです。

3つめは、au側の契約処理の問題です。

さて・・・iPhone5では、いったいどうなりますことやら・・・

そうそう、いまだに、「auの800MHzが海外と逆だから使えない」なんて昔の情報を恥ずかしげもなく言ってる馬鹿がいるようです。
逆であるau旧800MHz帯は、2012年7月まで使用できますが、現行機種はすでにau新800MHz帯であるBand Class 0のBand Sub Class 2に移行済みです。(2006年から運用しています)。
参考: WCDMAとCDMA2000の周波数帯 メモ書き

携帯電話回線を固定電話のようにつかう ver2


3G携帯電話回線を固定電話みたいな感じで使えるようなプロダクトを探してみました。
という記事を以前書いたわけですが、このリフレッシュ版です。

こういった商品は海外では「Fixed Wireless Terminal(FWT)」と呼ばれているようです。
といっても、あまりはやりではないようで、海外で現行製品が手に入るのかはよくわかりません。

なお、VoIPの電話を使いたい場合は、わざわざスマホ経由にしなくても、直接VoIPを受けられる機械があるので、それを使った方がいいでしょう。

それでもなお、携帯電話を普通の電話っぽく受け取りたいのであれば、下記の様なものが日本国内で入手でき、法律上の問題もなく、使用できます。

ユニデン DECT3280

まず、2011/9/15に発表になったばかりの新製品 ユニデンのDECT3280

(2019/12/09 DECT3280 , DECT3288とありましたが2014年に撤退しましたので現在入手できません)

Bluetooth経由で携帯電話に接続して発信・着信が行えるようです。
対応携帯電話のリストを見てみると、スマートフォンが中心のようですが、いわゆるガラケーにも対応しているようです。

子機1台タイプが1万2980円~、と安めの値段設定です。
Bluetooth接続なので、最初の設定がめんどいかもしれません。
また、携帯側をBluetoothを有効にしたまま外出するとバッテリー消費が多くなるので、うまく運用しないといけないでしょう。

TTRMKR 携帯電話-固定電話アダプター

個人作成のプロダクトの TTRMKR’s project:「携帯電話-固定電話アダプターというのがあります。

(2019/12/09 現在は「浜谷製作所」として活動中でAndroidスマホとBluetooth接続することで使用できるようになった「携帯電話-固定電話アダプタ」が販売中です)

FOMAコネクタ搭載携帯か、au CDMA2000携帯を固定電話のように使えるというアダプタを自作販売しています。
コネクタで接続すれば固定電話化する、という、見た目にもわかりやすい仕組みがいいと思います。

携帯の充電を忘れたり、家のなかでは携帯電話の鳴ってる音ぐらいじゃ気がつかない、というような場合に最適そうです。
具体的には、らくらくホンユーザ、とか

元々はダイアル式の黒電話をmova携帯につなげる、携帯黒電話からスタートしているようなので、長く続いているプロダクトのようです。

現在は、いろいろ製品がありますが、代表的には以下の3種類です。
・ナンバーディスプレイにも対応する完成品 24,800円 (黒電話もつなげます)
・ナンバーディスプレイ非対応版の完成品 19,800円 (黒電話もつなげます)
・黒電話に直接内蔵する工作を行いたい人用の部品セット 20,000円

後継製品でBluetooth接続モデルも開発中のようです。


— 2011/09/21 追加 —

ウィルコム イエデンワ WX02A

ウィルコムから、そもそもPHS機能を組み込んでしまった固定電話が出てきました。
エイビット製造のWX02A イエデンワです。

いくらになるかはまだ未定ですが、キャンペーンにより安価で手に入りそうな感じがひしひしとしますね。

— 2011/09/21 追加分はここまで —

さて、ここから下は、日本で使うと電波法的に問題があるプロダクトです。

これらは、その製品自体が携帯電話の機能を持っており、電波を出す機能がついているが、それについて日本国内の技適証明が取れていないので使用することができない、というものです。

既存の携帯電話をつなげて使う、という装置は発見できませんでした。
これは、おそらく海外では、各社・各機種間で共通につなげるコネクタというものが一般化しなかったためだと思われます。(ちなみにFOMAコネクタは日本での通称であって、正式にはIMT-2000コネクタという世界共通の規格です。日本以外での採用例はほとんど無いようですが・・・)

HUAWEI社製

HUAWEI B160

見た目は普通の電話機 HUAWEI B160

HUAWEI ETS1160

この機械に普通のアナログ電話をつないで使う。
もちろん、これ自体が携帯の機能を持っている。
・バッテリー内蔵
・起動には20秒ぐらいかかる
・パソコンとUSBケーブルで接続し、専用ソフトを使い設定ができる

Ericsson社製

Ericsson Fixed Wireless Terminals

Ericsson W35。(E30の方はData Routerだそうな)

・・・・オーストラリアとアメリカとカナダで販売中のようだけど約5万円
なお、「850/1900/2100」モデルと、「900/1900/2100」モデルの2つがあるようだ。

MATRIX TELECOM SOLUTIONS社製

・ MATRIX TELECOM SOLUTIONS SIMADO GFXD1111S 3G

普通の電話回線にもつなげるようで、いろいろマルチな機能をもつようだ。
「3G」がつかないやつはGSMのみなので注意が必要。
少し機能が劣るものでGFX11 3Gというものある。こちらは通常の電話回線にもつなげる機能は無い。

謎メーカ製

出所が謎な中華製としては・・・

3G FWT Fixed Wireless Terminal for WCDMA 2100MHz (3G Gateway, Including 850/900/1800/1900MHz)

同じサイトにはIMEIが変更できる、といううたい文句のGSM端末も・・・
3G WCDMA Fixed Wireless Terminal
同じ商品は他のサイトでもある
まぁ、売ってる場所的には、最低100個単位だと思われますので、現実的ではないでしょう。

WCDMAとCDMA2000の周波数帯 メモ書き


2012/01/10: 「WCDMA CDMA2000 LTEの周波数帯」にて情報更新しています。
2012/09/13: 「WCDMA CDMA2000 LTEの周波数帯 2012/09/13版」にて情報更新しています。

— 以下は古い資料 —
WCDMAの周波数帯はwikipediaにも載ってるのでいいんだけど
CDMA2000の周波数帯に関する資料がどこにあるのかがよくわからない。

WCDMAに関する周波数リスト

ネタ元:UMTS frequncy bandsW-CDMA

バンド名 周波数名称 略称 周波数
Band I 2100 IMT 1920-1980 / 2110-2170 日本含めいろいろ
Band II 1900 PCS 1850-1910 / 1930-1990 北米
Band III 1800 DCS 1710-1785 / 1805-1880 ヨーロッパ,アジア,オセアニア
Band IV 1700 AWS 1710-1755 / 2110-2155 北米
Band V 850 CLR 824-849 / 869-894 北米,ブラジル
Band VI 800 830-840 / 875-885 日本(FOMAプラスエリア)
Band VII 2600 IMT-E 2500-2570 / 2620-2690 ヨーロッパで今後利用予定
Band VIII 900 GSM 880-915 / 925-960 ヨーロッパ,アジアなどGSM利用地域
Band IX 1700 1749.9-1784.9 / 1844.9-1879.9 日本(イーモバイル,FOMA)
Band X 1700 1710-1770 / 2110-2170
Band XI 1500 1427.9-1447.9 / 1475.9-1495.9 日本(Softbank)
Band XII 700 SMH 699-716 / 729-746
Band XIII 700 SMH 777-787 / 746-756
Band XIV 700 SMH 788-798 / 758-768
Band XIX 800 830-845 / 875-890 日本(新FOMAプラスエリア)
Band XX 800 832-862 / 791-821 EU
Band XXI 1500 1447.9-1462.9 / 1495.9-1510.9
Band XXV 1900 1850-1915 / 1930-1995

なお、各携帯電話会社でどのような周波数を採用しているかはList of UMTS networksの記述が一番まとまっていると思われる。

CDMA2000に関する周波数リスト

TSG-C C.S0057-E v1.0 Band Class Specification for cdma2000 Spread Spectrum Systems Revision E

名称 周波数 具体値
BC0 800MHz Band 824.70-848.31 / 869.70-893.31 いろいろ,日本(au 新800MHz)
BC1 1900MHz Band 1851.25-1908.75 / 1931.25-1988.75
BC2 TACS Band 872.0-915.0 / 917.0-960.0
BC3 JTACS Band 887.0-925.0 / 832.0-870.0 日本(au 旧800MHz)
BC4 Korean PCS Band 1750.0-1780.0 / 1840.0-1870.0
BC5 450MHz Band 411.0-483.0 / 421.0-494.0
BC6 2GHz Band 1920.0-1980.0 / 2110.0-2170.0 IMT-2000として各国共通
BC7 Upper 700MHz Band
BC8 1800MHz Band
BC9 900MHz Band
BC10 Secondary 800MHz Band
BC11 400MHz European PAMR Band
BC12 800MHz PAMR Band
BC13 2.5GHz IMT-2000 Extension Band
BC14 US PCS 1.9GHz Band
BC15 AWS Band
BC16 US 2.5GHz Band
BC17 US 2.5GHz Forward Link Only Band
BC18 700MHz Public Safety Band
BC19 Lower 700MHz Band
BC20 L-Band
BC21 S-Band
BC31 Wildcard Band Class リアルではなく論理的なもの

BC=Band Class

BCの下にはBand Sub Classというくくりもあったりする。
Band Class 0 Band Sub Class 0: 北米とか(824-849/869-894MHz)
Band Class 0 Band Sub Class 2: 日本 新800MHz(824-830/869-875MHz)
Band Class 0 Band Sub Class 3: 日本 新800MHz 2012年以降の拡張領域(815-830/860-875MHz)

なので、北米機種でBC0対応であっても、日本で使えるかどうかは、Band Sub Class2と3に対応しているかどうかにかかっているということになる。

タッチで家の鍵を開け閉め(Edy/Suica/Felica)


Felica系(Edy/Suica)を使って家の鍵を開け閉めするシステムについて、調べた。

(2012/10/05追記: 海外製品についての調査結果)

ソニックブレインのアイ・タッチスリムシリーズ
 以前は株式会社タセ(http://www.tace.co.jp/)という名前だった。
 バージョンアップを何回かしており、現行の家庭向けは以下の2製品。
 アイ・タッチスリム Tシリーズ
 LOCKIT ロックイット

  ロックイットは簡易版で、かなり機能が限定されているようだ。
  後述のシーズンテック シリンダーICロックからさらに機能を削っているような印象がある。
  既存の鍵を活かすタイプ

 2023/05/16追記: ソニックブレイン株式会社のWebは平成25年9月30日付け更新が最後で、トップページにAdobe Flashファイルも掲載されたままとなっているという放置状態
 会社が存続していない可能性?

シーズンテックシリンダーICロックシリーズ
 取り付けマニュアルが掲載されていないので、事前検討がしにくい。
 いろいろ調べていたところ、謎のexcelファイル内に興味深い記述があったので後ろの方に転載しておく。
  既存の鍵を活かすタイプ

 2023/05/16追記: シーズンテックでの製品販売は2023年3月末で終了し、大崎電気工業株式会社マザーセキュリティ株式会社 で販売している製品に切り替わった模様

 マザーセキュリティ株式会社ではSmart IC LockSmart Dual LockIC TIME Sといった製品を取り扱っている

・iNAHO(イナホ)
 インターロック/インターロックR
 ユビタッチ/ユビタッチR
 という製品があるようなのだが、メーカー公式のページを発見できなかった。
 株式会社フキというのが出てはきたが、OEM先の1つであるような気がする。

 2023/05/16追記: フキはいまも現存しておりスマホ連携アプリ iNAHO Ei-Lock は2023/04/21付けで更新されているので大丈夫そう

株式会社 エイ・エス・アイ
 ロイヤルガーディアン(ROYAL☆GURDIAN)シリーズ
 興味深いなぁ、と思うのは管理者向け説明で、滞納者ロックアウトに使えます、と歌っているところ。

 2023/05/16追記:Webに「2022年12月20日(火)をもちまして、全商品の販売を終了しました。」という記載あり

・美和ロック
 FKALT
 株式会社KESAKA社のシステムと連動して使う模様
 家庭向けではなさそう

・株式会社アルファ
 Entry Lock(エントリーロック)
 ただし、これは、株式会社KESAKA社のシステムと連動して使うもので有り、製品自体も受注生産
 なので、個人が利用するものではない模様

・番外: 海外のLockitron
この製品は基本的にはiPhoneにアプリをインストールして、そこから解錠施錠をする、というもの。
ただし、FelicaではなくNexus SのNFCにも対応しているらしい。

— 興味深いexcelファイルからの転載 —
【シリンダーICロックとLock itの相違ポイント】
1.タセ・鍵屋リンクスという会社が以前から販売していた「アイタッチスリム」という製品と
  室内側は、全く同じ物。タセは社名変更し、鍵屋リンクスは会社が解散している。
2.開発依頼をしている韓国の会社が、シリンダーICロックとロックイットは同じであり、室外側の
  ICリーダー部は、韓国開発会社の技術を利用させてもらっているので、似た形状になっている。
  しかし、室内側は当社側の技術指導と経験から設計をし、金型も独自で起こしているので
  全く違う製品である。
3.ICの登録枚数も、100枚と300枚で、3倍違う。※使用している電子部品関係が全く違う。
4.ICの追加登録は、ロックイットは出来ないが、シリンダーICロックは管理者カードがあれば出来る。
5.開錠履歴も1000件に対し、シリンダーICロックは3000件と3倍違う。
6.従来のシリンダー錠で開錠した場合、ロックイットは履歴が残らないが、シリンダーICロックは履歴が残る。
7.シリンダーICロックは、バックセット38mmから取付けられるので、幅の狭い扉や勝手口にも取付けれるが、
  ロックイットは、バックセット62mm以上の扉からしか設置できない。
8.シリンダーICロックは、従来からのシリンダー錠や手動で開閉した場合、ギアがモーターから自動で外れる
  「クラッチ機構」を採用しているので、非常時は街の鍵屋さんに非常開錠を依頼でき、ギアやモーターの
  トラブルもほとんど無い。ロックイットは、従来からのシリンダー錠や手動で開閉した場合、ギアやモーターも
  連結したまま回るので、重い。

また、シリンダーICロックはリモコンなどの拡張性を持っている。

DECT仕様のコードレス電話



海外仕様のコードレス電話で採用されていることが多い規格「DECT」
実は、日本仕様も存在しています。

2010年12月にユニデンからDECT3080 可憐というものが販路限定で販売されたあとが続かないなぁ・・・と思っていたら、2011年8月になって2製品目がシャープからJD-G30Cl/CWとJD-V35CL/CWが登場しました。

さて、DECTですが、海外仕様がそのまま使えるわけではありません。
日本で合法的に使うには、技適を取得した機械を使う必要があります。

DECTの仕様書「ETSI-DECT 標準EN 300 175-2(Common Interface Part 2: PHY Layer)」で定義されている周波数帯域は「1880 MHz – 1978 MHz」と「2010 MHz – 2025 MHz」となっているが、現状全ての帯域を使える地域は存在していない。

現状は、以下の様に地域により周波数帯域が異なっている。
・ヨーロッパ 1880 MHz–1900 MHz
・アメリカ/カナダ 1920 MHz–1930 MHz
・南アメリカ 1910 MHz-1930 MHz
・中国 1900 MHz-1920 MHz
・日本 1893 MHz–1906 MHz

日本で使用できる帯域では5つのチャネルが確保されています。
といっても、5システムまでしか同時に使えない、という意味ではありません。
通信チャネル自体は60個あります。
そこそこヘビーに使うような環境であれば20システム程度は平行稼働ができるようです。

なお、日本語のDECTに関する資料は総務省の検索窓で「DECT」を検索するとDECT仕様を日本に導入する際に検討したいろいろな報告書等出てくるので、それを読むといいでしょう。
情報通信審議会 情報通信技術分科会 小電力無線システム委員会 報告(案)」とかね。
平行稼働数とかの情報はこのpdfに入っています。