Facebookが作るLTE対応のOpenCellularプロジェクト

毎度のcnx-softwareで情報入手。
OpenCellular is Facebook’s (soon to be) Open Source Wireless Access Platform

Facebookの偉い人である「Mark Zuckerbergさんの投稿」によりオープンソースプロジェクト「OpenCellular」がアナウンスされました。

この投稿ではかなりざっくりとしたことしか書かれていませんが、その後、Facebookのcode blogに詳細記事が掲載されました。
Introducing OpenCellular: An open source wireless access platform
facebook-opencelluar

最初、携帯基地局のプロジェクトかと勘違いしたのですが、WiFi APに2G(GSM)~LTE対応の携帯網接続機能を搭載してばらまこう、というプロジェクトでした。

「Radio部」と「General-baseband computing (GBC)部」の2つにコンポーネントを分け、Radio部は最近はやりのSDR(software-defined radio)だったり、SoC(system on chip)を使った構成とし、ソフトウェアにより細かい制御を行い、ハードウェア部分の専門性を極力排除。
また、GBC部もRadio部も、各部の仕様を、PCサーバの「Open Compute Project(OCP)」と似たような感じで定義し、1社だけではなく、複数社からも調達がでいるようにしていこう、という意欲が見え隠れします。

ただ、インターネットへのアクセスが弱い地域に向けて、ということらしいのですが、結局のところ携帯電話回線を使うので、むやみにばらまかれると携帯電話会社が困るだけのプロジェクトのような気がするのですが、どういう風に展開する気なのかなぁ・・・と・・・

指定WiFi APの電波状況を監視し、問題があったら電源をoff/onする装置WiReboot

cnx-softwareの記事で「WiReboot is a Watchdog Device Rebooting Your Router if the WiFi Connection is Lost (Crowdfunding)」というのがあった。

kickstarter案件で「WiReboot-Keep your Wifi on 24/7. Automatically reboot router」というプロジェクトの紹介。

どういうものなのか?

WiFi APの電源ケーブルに割り込ませる機械。
wireboot1

WiRebooterの監視対象としているWiFi APの電波が無くなった場合に、WiFi APの電源ケーブルを抜き挿しして、電源を入れ直す、という動作をします。

これが日本への送料込みで23ドル、という安い値段。
(「$18 CAD」の意味が最初分からなかったが「18カナダドル」でした)

基本機能に加え、3種類のオプションが用意されています。
・温度検知機能(Temperature add-on)
  熱暴走とかの検知
・湿度検知機能(Temperature and Humidity Add-on)
  水濡れを検知
・無線制御機器のon/off昨日(433 transmitter add-on)
  315MHz/433MHz帯を使うリモコンスイッチ機能を持つ機器のリモコン代替機能

wireboot2

で・・・この機械
オープンソースということなので、WiFiじゃなくても、指定IPアドレスからの応答がない場合、とかに改造することも可能なんでしょう。
つまりは、ラズパイが死んだ時に再起動、とかね
まぁ、現場にWiFi APが必要ではありますけどね

いろいろ使えそうなアイテムです

注意1:現時点では使用するESP8266が技適マークが取得されている個体を使用するのか不明
   ESP-WROOM-02 Wi-Fiモジュールで使われているSoCもESP8266シリーズで、こちらは技適取得済みです
   しかしWiRebootのサンプル写真に写っているESP8266はAI-Thinkerという3rdパーティ製で
   FCC以外の取得状況が不明です。
   参考情報:Wikipedia「ESP8266」に種類の違いがあり

注意2:WiReboot側のコネクタはUSBコネクタを電源コネクタ扱いで使っているため
   誤ってさしてしまい、壊す、という事故が起こりかねないので
   使う場合は接続先を間違えないよう、十分に注意してください。

NHK技研公開2016 インテグラル立体テレビとホログラムメモリー

今年も行ってきましたNHK技研公開2016

今年、一番ぐっときたのは「インテグラル立体テレビ」と「ホログラムメモリー」でした。

毎年展示があるやつじゃん、と思われるかもしれませんが、今年は、ほんと違いました。

インテグラル立体テレビ

今年はなんと一階のエントランス入った大スペースの一角に実機の展示が登場。IMG_5984

これまでは薄暗いところで、人数を区切っての展示ばかりだったものが、ついに一階の明るいスペースでの展示になりました!

もちろんこれだけではなく、奥のスペースでは詳細の展示が行われていました。

IMG_6089

これ、一見すると同じモノが2つ展示されてるように見えますが、左側が撮影側、右側がモニタ側だそうです。

今回のモニタ側は下記の様な形でプロジェクターを使って出力しているとのこと。

IMG_6091

その影響でしょう。

今年は綺麗に見えました・・・

IMG_6092

まぁ、写真にしちゃうと、奥行きが表現できないので、こんな感じの汚い雰囲気になっちゃいますけどね・・・

 

 

ホログラムメモリー

8Kスーパーハイビジョンなどの大容量データについて、長期保存に耐えられるようなメディアを用意するにあたり、NHKと日立で開発中なのが、ホログラムメモリー。

今年は12cmの円盤形のメディアの実機が登場しました。

IMG_6008

見ての通りに、ディスクが透明です。

IMG_6009s

ちょっとわかりにくいですが、光が当たってるところで、虹色っぽく模様が出てるのが、ホログラムによるデータが入っているところになるそうです。

で・・・現状のドライブはコレ!

IMG_6010

ドライブだけではなく、ドライブからパソコンに取り込むあたりのインタフェースもスゴイ状態に・・・

IMG_6014

ちなみにこのドライブの中でメディアがどのあたりにいるかといいますと、お手をふれないでください札の前あたりになります。

機器に覆われているため、ほとんど見えませんでした。

まだまだ小型化には時間がかかりそうですが、メディアの実物が登場してきたりと、製品化に向けて着実に進んでいる感じがします。

 

というわけで、今年のNHK技研公開は、個人的にはかなり満足しました。

 

 

qmailの情報収集 2016/03/31

新しい情報があったので「qmailの情報収集 2019/08/26」で更新しました。


2012年に作成した「いまさらqmailのパッチ情報収集 2012/02/17」という記事に、いまでも時々アクセスがある。

あれから4年。何か変わったところがあるか調べてみた。

・新星 s/qmail登場
なんと「s/qmail」という新作が登場。

これまで普通のqmail向けに、SMTP Authentication, Spamcontrol(4年前の記事でも紹介)などを作成してきた開発者が提供するqmail 2016年版、的なもの。
IPv4,IPv6にちゃんと対応し、vpopmailなどのqmailを使用するソフトウェアがそのまま使用できるものとなっている。

SSL/TLS対応はs/qmail自身ではなく「ucspi-ssl」が提供しているようだ。
SPF,DKIMには対応していない。

・IndiMail
qmail, serialmail, qmailanalog, dotforward, fastforward, mess822, daemontools, ucspi-tcp, Courier IMAP/POP3, Bogofilter – A Bayesian Spam Filter, Fetchmailをまとめてパッケージングしている「www.indimail.org」にアーキテクチャ図あり
SPF,DKIM対応
各ディストリビューション用のレポジトリーが用意されている。(RHEL/CentOS5~7,Debian7~8,Ubuntu12.04~15.10,OpenSuSE11.4など)
安定版:http://download.opensuse.org/repositories/home:/indimail/
開発版:http://download.opensuse.org/repositories/home:/mbhangui/

基本的にパッケージとして使うためものであるため、qmail単独で使うにはちょっと厳しい感じがある。
vpopmailと組み合わせて使えるか、というと、結構謎。

qmail-isp
qmail-1.03に対するパッチをまとめたもの。netqmail-1.06相当のパッチも含まれている。
2013年6月に更新版が出ていた。
こいつはvpopmailと一緒に使えるらしい

インプレス記事に見る「技適」を理解してないやつ

インプレスが「日本マイクロソフト、独自に「Lumia 830」の技適を取得し、社内利用へ」という記事を出した。

初出時

具体的には、Lumia 830において総務省令で定める技術基準適合証明を取得し、技適マークを付与している。
<中略>
日本マイクロソフトによると、今回、Lumia830が技適マークを取得したことで、海外で販売しているLumia 830も一般個人で輸入したり、企業が独自に導入しても、同機種に限定して、日本で通信利用ができるようになる。

というあほな記述をしていた。

典型的とも言える「技適」と「技適等」の違いが分かってない記載です。

1年ほど前に「技適はいくらかかるのか?」にも書きましたが、一般的に「技適」と省略して言われているものについて、総務省では「技術基準適合証明等」や「技術基準適合証明又は工事設計認証」と表現しています。
スマホにつける「技適マーク」も正式には「特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク」という表記になります。(総務省:技適マークのQ&A)

つまり

「技適マーク」=「技術基準適合証明マーク」or「工事設計認証マーク」
です。
また、「技適等」は「技術基準適合証明または工事設計認証」の省略形表現です。
(最初「技適マーク」=「技術基準適合証明」+「工事設計認証」としていたんですが、両方必要、という意味に捉えた人がいたので「or」表現に変更)

なんで2種類あるのかをざっくりとまとめてしまえば、「できあがった無線機を個別に検査して取得する技術基準適合証明」と「設計から製造まで含めた工事設計認証」ということになります。

それぞれ費用が異なり、100台とかだったら技術基準適合証明の方が安く、量産するのであれば工事設計認証の方が安くなります。

「技術基準適合証明」の方は、1台1台個別の番号が付き、それを本体に貼り付ける必要があります。
このため、通常はシールとなります。

「工事設計認証」の方は、一括の番号です。
なので、シールや印刷で本体に貼り付ける以外に、AndroidやiPhoneなど電磁的な表示、というのが可能になっています。

で、今回のマイクロソフトの件。

具体的には、Lumia 830において総務省令で定める技術基準適合証明を取得し、技適マークを付与している。

とあるように、取得したのは特定の個体に対して出される「技術基準適合証明」である。

なので、その後段に書いてあった

日本マイクロソフトによると、今回、Lumia830が技適マークを取得したことで、海外で販売しているLumia 830も一般個人で輸入したり、企業が独自に導入しても、同機種に限定して、日本で通信利用ができるようになる。

という自体は、そもそもあり得ないのである。
だって、日本マイクロソフトが、台数決めて取得した技適のシールを貼り付けてないわけですしね。

で・・・
ついでですが・・・

こういう話になると毎度毎度「技適が悪い」とか「技適は非関税障壁」とか言う人が出てきますが
「SIMフリーフォンであれば<合法的に>諸外国で使える」と思っているんでしょうか?

違います。

SIMフリーフォンは、あくまで使用できるSIMの制限がない、というだけで、使用できる国については制限があります。

SIMフリーフォンであっても、その電話機を実際に使う地域での電波的な認証が通ってないものを使うと、違法になります。

「FCCを取得してないとアメリカで使えない」「CEマークがないとEU圏で使えない」とか、
基本的にメジャーな国、地域であれば、そこの電波的な認証を取得していないで使うと違法です。
携帯電話の場合、出力が小さいので、見逃されているだけに過ぎません。

FCC、CEについては、ユーザ数が多く見込まれるため、取得している可能性が高いですが、
ほんとに取得しているかは、本体を見て確認する必要がありますよ。

 


総務省の資料から参考になりそうな資料

出典1「 第4回貿易・投資等WG 資料1-3(その2)

出典2「我が国における無線設備の 技術基準認証制度の最新動向と市場監視」(平成27年10月)


出典3「各国基準認証制度の概要」(平成22年3月)

諸外国での無線機器の認証を得るための手続きについて詳細

出典4「 各国の基準認証制度の概要 -MRA情報の調査に親しむ- 」(平成24年3月)

各国で無線機器を発売する際に必要となる認証についてまとめたもの