Aliexpressで$39.99で売ってる1000Mbps対応のPLC(電力線LAN)は日本で使えるのか?


2023/09/05追記+2023/09/07 HD-PLCがNessumに改称したが詳細についてはまだこれからの模様

2023/10/30追記 Nessum対応のアップデート

2023年10月末時点でのNessum関連について

2023年10月2日に規格名だけでなく、団体名であるところのHD-PLCアライアンスもNessum(ネッサム)アライアンスに改称した。

NessumではNessum WIREという同軸ケーブルもしくは電力線を使った規格と、Nessum AIRという低周波数帯域を使った無線規格の2種類が提供されることになった。

Nessum WIREの電力線に旧HD-PLC4相当の1Gbps対応が含まれているので使えそう、とか感じますが、別ページに「国内:2~28MHz 注:国内の電力線通信で使用可能な周波数は電波法により規定されています」という注釈があり、220Mbpsまでの記載がある。

このため、2023年10月末時点では、引き続き日本国内で1GbpsのPLC機器を使うと違法となる状況は変わっていない模様である。

Nessum WIREの1Gbps対応製品は国外も含めてまだ出ていないようだ。

また、海外ではHomePlus AV2 Standard / AV2000 規格で2Gbpsまで出る規格があり、製品化もされている。

2023年9月時点での現状について

PLCの規格について「HD-PLCの標準化」に現状のまとめがある。
 2010年12月 HD-PLCが IEEE 1901として承認
 ITU-Tが標準化を進めているホームネットワーク仕様が G.hn規格
  G.9960が物理層、G.9961がMAC層、G.9972が他規格との共存仕様

製品がリリースされている高速度なPLC規格は以下の4つがある

・HomePlug AV2 Standard / AV2000
・HomePlug AV2 Standard / AV1300
・G.hn wave 2 / G.hn 2400
・G.hn wave 1 / G.hn 1200

HomePlug系を定義した HomePlug は2019年以降アクセスできず消息不明のため継続性が謎。

G.hn系はHomeGrid Forum だが、このフォーラムとしては宅内配線だけではなく、GiGAWaire(G.hn Access) という宅外配線も含んだ規格を制定している。

HD-PLC(日本語)は現存しているが、2018年のHD-PLC3 multi-hopでは240Mbpsまでで、2022年予定の1Gbps規格がHD-PLC4ということになっているようだ。

HD-PLC4の場合は、2~100MHzの帯域を使用することになっているが、製品はまだない??
 → HD-PLC™ 第 4 世代規格 IEEE1901-2020 準拠 LSI ”SC1320A”を量産出荷開始 とチップは出ているが一般向け製品はまだ

G.hn製品についてはHomeGrid ForumのCertified Systems から製品検索ができる。

比較的入手しやすそうなベンダ例としてTP-LinkとXyxelをあげておく

TP-Linkの製品
 AV2000対応 TL-PA9020P KIT
 AV1300対応 TL-PA8010P KIT
 G,hn 2400対応 PG2400P KIT
 G.hn 1200対応 PG1200 KIT

Xyxelの製品
 AV2000対応 PLA5456
 G.hn 2400対応 PLA6456


当初の記載

2021/08/02: リンク先がいくつか無くなったりしてたので修正

Aliexpressを見てたら、PLC(電力線LAN)装置のペアが$39.99で販売していた。

安いけど、日本で使えるんだろうか?と調べてみた。

まず、上記の機器について調査。
中国の「Tenda」というメーカの「PH3」といい商品。
HomePlug AV2という規格に対応し、通信速度は1000Mbs。
この他に旧規格のHome Plug AVとIEEE 1901にも対応とのこと。

Tendaでは、HomePlug AV2に対応した製品を全部で4種類出している
・「PH3」ペア販売で、基本系で、LANは1ポート(2台セット)
・「PA6」無線LAN APを兼ねているもの。LANは2ポート(1台)
・「P1001P」コンセントを消費してしまうのを避けるためにタップ機能も用意。LANは1ポート(1台)
・「P1002P」P1001PのLANが2ポートになったモデル(1台)
この4製品で混在可能。


さて、規格について確認。

・HomePlug(団体名)
 「HOMEPLUG
 ここが制定してる規格がHomePlug
 2019年4月以降Webがアクセスできず、HomePlugの現状は不明

・HomePlug 1.0
 2001年リリース。
 2008年にTIA-1113として承認

・HomePlug AV 1
 2005年リリース。13Mbps~200Mbpsの規格
 家庭内でのAudio/Video配信に耐えられる規格として制定
 2010年にIEEE1901として承認された
 2~30MHzの帯域幅を使う

・HomePlug AV 2
 2012年リリース。~1300Mbpsの規格
 実行速度は出ても550Mbps
 2~30MHzに加えて、30~86MHzの帯域幅を使う

・HomePlug Green PHY
 2010年リリース。スマートグリッド向け
 HomePlug AV 1のサブセット
 10Mbpsまで

・HD-PLC(団体名)
 「HD-PLCアプライアンス
 HomePlugとは別の団体で、日本のパナソニックなどが主体となっている。
 ここが制定してる規格がHD-PLC

・HD-PLC 1
 2~28MHzの帯域幅を使用

・HD-PLC 2
 2~28MHzの帯域幅を使用
 ~210Mbpsの規格
電力線を使うだけでなく、同軸ケーブルを使用する製品も存在している

・HD-PLC 3
 新世代IEEE1901 「HD-PLC3」
(Complete、inside)について

 2~28MHzの帯域幅を使用
 ~240Mbpsの規格
電力線を使うだけでなく、同軸ケーブルを使用する製品も存在している

HD-PLC4 (Quatro Core)
 2019年3月にIEEE 1901aとして承認されたもの
 2~100MHz帯を使用し、~1000Mbpsの規格
 ただし1000Mbpsは同軸ケーブル利用の場合で、電力線は250Mbpsまで

・HomeGrid Forum(団体名)
 「HomeGrid Forum
 中国発祥の規格。

・G.hn
 HomeGrid Forumが制定するGigabit Home Networkingの規格
 TVアンテナ用の同軸ケーブルなどを利用する製品
 先日エレコムが出した「エレコム、既設の同軸ケーブルをイーサネット化するコンバーター、最長1100mの通信が可能はG.hn製品

GiGA Wire
 G.hnをベースにした拡張規格


日本で使えるか?という点について確認する

HD-PLCフォーラムの「高速PLC通信とは?」に下記記載があった。

一方、日本国内では、これまで低速PLC通信が、450kHz以下の周波数帯で商用認可されていましたが、高速PLC通信の利用は、規制されていました。 その後、高速PLC通信ニーズの高まりにより、2006年10月から短波帯(2M~30MHz)を使用した屋内利用が、規制緩和されインターネット利用で順調に市場が拡大し、出荷累計120万台を超える市場に成長しています。 また、最近では、無線LAN利用拡大に伴う通信障害対策としての利用ニーズも高まりを見せています。 このような背景の下、2013年9月には、屋外利用の規制緩和も行われ今後、高速PLCの利用範囲は、更にさまざまな分野に広がるものと期待されています。

2~30MHz帯を使えば問題ないが、それ以上を使うHomePlug AV2では問題があるようだ。

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