NFS v4ではUTF-8ファイルのみ使用でき、EUCファイル名は使用できない

むかしからSolarisサーバを使っているユーザのとこにNetAppを入れることになった。

どうやらEUC-JPファイル名のものがあるらしいのでNetAppのvolume language を ja_v1で作成してから検証してみたところ、Solaris10環境からNFSマウントして書き込もうとすると「引数が正しくありません」というエラーとなり書き込みが出来ない。

しばらくあれやこれや悩んだ結果、「NFS v4で許されているファイル名は UTF-8 記述のものだけ」という仕様上の問題であることが判明した。(RFC7530 Network File System (NFS) Version 4 Protocol の 12.4. String Encoding に記載)

このため、EUC-JPのファイル名を使いたい場合は、NFS ver3でマウントすることが必須、ということが分かった。

検証過程

まず、Solaris10環境から、NFS ver4で /mnt4 にマウントし、NFS ver3で /mnt3 にマウントした。

# mount 172.17.44.103:/eucvol /mnt4
# mount -o vers=3 172.17.44.103:/eucvol /mnt3
# df -h|grep mnt
mnttab                   0K     0K     0K     0%    /etc/mnttab
172.17.44.103:/eucvol   1.9G   808K   1.9G     1%    /mnt4
172.17.44.103:/eucvol   1.9G   808K   1.9G     1%    /mnt3
# mount|grep /mnt
/etc/mnttab on mnttab read/write/setuid/devices/rstchown/dev=4c80001 on (金)  8 月 12 15:30:07 2022
/mnt4 on 172.17.44.103:/eucvol remote/read/write/setuid/devices/rstchown/xattr/dev=4f40004 on (金)  8月 12 15:33:31 2022
/mnt3 on 172.17.44.103:/eucvol remote/read/write/setuid/devices/rstchown/vers=3/xattr/dev=4f40005 on (金)  8月 12 15:33:38 2022
#

この状態でそれぞれを確認すると、下記の様になっている。

# ls -l /mnt3
合計 8
-rw-r--r--   1 root     root           6  8月 10日  14:37 test.txt
-rw-r--r--   1 root     root           0  8月 10日  14:51 てすと
drwxr-xr-x   2 root     other       4096  8月 10日  14:35 表計算
# ls -l /mnt4
合計 8
-rw-r--r--   1 root     root           6  8月 10日  14:37 test.txt
-rw-r--r--   1 root     root           0  8月 10日  14:51 礒窿
・rwxr-xr-x   2 root     daemon      4096  8月 10日  14:35 茵 ・
・
#

NFS ver4でマウントしている /mnt4 の方は日本語文字(EUC-JP)が正常に表示できていない。

次に /tmp/てすと2 のコピーを試みる

# cp  /tmp/てすと2 /mnt4
cp: /mnt4/てすと2 を作成できません: 引数が正しくありません。
# LANG=C
# export LANG
# date
Fri Aug 12 15:37:39 JST 2022
# cp  /tmp/てすと2 /mnt4
cp: cannot create /mnt4/てすと2: Invalid argument
#

NFS ver4でマウントしている領域へのコピーは「引数が正しくありません」、英語メッセージの場合は「Invalid argument」で失敗する。

対して、NFS ver3領域へのコピーは問題なく実施できる。

# LANG=ja
# export LANG
# date
2022年08月12日 (金) 15時39分11秒 JST
# cp /tmp/てすと2 /mnt3
# ls -l /mnt3
合計 8
-rw-r--r--   1 root     root           6  8月 10日  14:37 test.txt
-rw-r--r--   1 root     root           0  8月 10日  14:51 てすと
-rw-r--r--   1 root     root           8  8月 12日  15:39 てすと2
drwxr-xr-x   2 root     other       4096  8月 10日  14:35 表計算
#

なお、この領域をWindows側から見た場合はこのように正常に表示されている。

ちなみに・・・ONTAP CLIからvolume languageコマンドを実行してみたところ、標準権限(admin)とadvanced権限とで表示される内容が違う、というのが興味深かったです。

netapp101::> volume language -vserver netapp103 -volume eucvol

Volume language is ja_v1 (Japanese euc-j) for netapp103:eucvol

netapp101::> set adv

Warning: These advanced commands are potentially dangerous; use them only when directed to do so by NetApp personnel.
Do you want to continue? {y|n}: y

netapp101::*> volume language -vserver netapp103 -volume eucvol

Volume language is ja_v1 (Japanese euc-j) for netapp103:eucvol

Translation Versions
        OEM Character set is cp932_v1|cp932_v1|Wed Jan 22 23:18:24 UTC 2003 for netapp103:eucvol

        NFS Character set is eucj_v1|eucj_v1|Wed Jan 22 00:46:42 UTC 2003 for netapp103:eucvol

netapp101::*>

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