System76のTHELIOというオープンソースハードウェア


System76というところからTHELIOというオープンソースハードウェアが10月にpre-order開始になるらしい。

「We’re excited to manufacture the world’s first open hardware computer in the US: THELIO. 」と自称している。

THELIOの方は現段階では情報がほぼない
system76のページを見るとPop!_OSというものがあり、ダウンロードできるようになっている。
ダウンロードリンクをみると、「18.04」というバージョン表記と、ページ全体をみた感じだと、Ubuntu 18.04をベースとしたOSである模様
標準でデータ暗号化とかセキュリティをとか、デスクトップ操作の改善とかある

githubアカウントもある:https://github.com/pop-os
レポジトリの紹介はhttps://system76.com/pop/techに書かれている。

このPop!_OSをプレインストールしたノートパソコンとワークステーション、サーバも販売しているようだ。

そこから考えると、UbuntuベースのLinuxが動くハードウェアなんだろうけど、「Open Source」ってことは、非Intel系CPUなんだろうか???
いったいどういうものが出てくるのか期待


結局出てみれば「ThelioはAMD/Intel搭載のデスクトップ機だった」。

まぁ、「System76 Open Source Firmware」でfirmware(BIOS/UEFI)を公開している点がちょっとオープンっぽいとこがありますけどね

FreeBSD+bhyveベースのハイパーバイザーTidalScaleについて調べて見た


巨大HPCシステムを作る際に、巨大なデータを複数に分割してサーバに投げるのではなく、そのまま処理できるようなシステムとして、Linuxベースの「ScaleMP」(2023/03/17現在ドメインは関係無い会社に取られている http://www.scalemp.com/) というシステムがある。
2005年から製品をリリースしており、2010年にはXen/KVMに対応し始め、仮想化機能もだいぶ進んでいる。

それに似たようなものとして、最近、TidalScaleという製品が登場してきた。
こちらはFreeBSD 10.3Rベースで、ハイパーバイザー層はbhyveを使っているというもの。

これについて調べて見た・・・
といっても、最近全部公開された公式マニュアルを見ただけですが・・・

管理サーバ(admin node)とworker nodeに分かれている。

admin nodeには全体の管理機能と、ストレージを提供する役割がある

worker nodeはCPUコアとメインメモリを提供する役割がある。

現状、Intel CPUのみサポート

worker nodeは使われていない時は電源がoffとされており、使用する際に自動的にonとする

OS用ディスクは不要で、admin node上のNFSストレージからネットワークブートする。
この起動したOSを「TidalScale HyperKernel」といっている。

ストレージはadmin node上のzfsストレージか、外部のiSCSIストレージを使用することができる

zfsの機能を使ってSSDを使ったアクセスの高速化を使うことも出来る。
FCストレージは今後のバージョンでサポートするらしい 。

複数の物理サーバを使って1台の仮想マシンを作ることができる

この仮想マシンを「TidalPod virtual machine」といっている。
CPU 12コア/RAM 128GBの物理サーバを2台使って、CPU 24コア/RAM 256GBの仮想マシンを作る。

1台の物理サーバを複数の仮想マシンで使うことはできない

物理サーバ1台に仮想マシンを集約する、ということにはつかえない。

また、物理サーバを3台用意して、1.5台分を使った仮想マシンを2つつくる、といった物理マシン1台を分割することもできない。

サーバ間接続(Interconnect)は現状10Gb NICのみ

InfinibandではなくEthernet。
コストが高いInfinibandを使わなくても汎用の10Gb NICで十分であり遅延も少ないという主張をしている。

仮想マシンを構成する物理サーバが壊れた場合、仮想マシンが止まる

現状、HAや予防交換の機能は無い。
2019年対応したバージョンが出る予定となっている。

ネットワークは4系統必要

Guest subnet: 仮想マシンが外にでる為のネットワーク
Storage subnet: ストレージ用ネットワーク(iSCSIベース)
Control subnet: サーバ間の管理通信用 BMC/iLOなどの管理アクセス用
Interconnect: IPアドレスを必要としないサーバ間管理通信用

NIC冗長化機能が無い

現バージョンは、trunking(bonding)機能が未サポート。

RedHat/SuSE/Ubuntuなどをサポートで、Windowsはサポートをうたっていない

ScaleMPと同じような感じですね。

ScaleMPとの違い

・Interconnectが ScaleMPはInfiniband(HCA) / TidalScaleは10Gb Ethernet NIC(今後他のEthernet NICにも対応予定)
・用途が ScaleMPがHPC向けのデータ処理を主眼 / TidalScaleはでっかい仮想マシンをデータセンタ事業者向けに
・ScaleMPは1つの仮想マシンを立てる / TidalScaleは複数の仮想マシンを立てることができる(ただし物理サーバは別であること)

ScaleMPだと仮想マシンを複数立てられないので、TidalScaleがある、といった感じですかねぇ・・・

ここまで似てて大丈夫かな?と調べて見れば、ScaleMPから2018年3月頃に訴えられているようです。

ScaleMP, Inc. v. TidalScale, Inc. et al 3:18-cv-04716」にScaleMPが提出した書類が載っていますが下記の様な感じです。(超意訳)

・ScaleMPの持ってる3件の特許を侵害している
・2010年8月にScaleMPがSAPおよびいまはTidalScale CTOになっているNessiに対してScaleMPのプレゼンをした
・2010年10月にScaleMP上にSAP HANAを載せる話をした
・2010年12月にNessiがScaleMPの評価を開始した
・2011年1月にdeep-diveセッションとして技術的にかなり深いミーティングをNessiとした
・2011年2月にNessiがイベントでScaleMPと似たような感じのものを発表した
・2011月9月にNessiがSAPをやめると発表
・2011年10月にNessiにScaleMPにCTOかアドバイザーとしてこない?と誘ったけど断られた
・2012年3月、TidalScale公開。Nessi CTOに
・2013年1月、SAPでScaleMPの評価をしてた人がScaleMPの価格情報とかいろいろ聞いたあとSAPを退社し、8月にTidalScaleに入社
・というわけで、うちのScaleMPを解析してソース公開しなくてもいいライセンスのFreeBSD/bhyveで再実装したんでしょ!?

TidalScale側の主張が書かれた資料が入手できていないので、上記が正しいのかはわかりません。
果たして、この後、どう決着がつくのかな、と


2019/11/06追記

7月にScaleMPとTidalScaleの間で和解が成立していた模様。

TidalScaleが、ScaleMPが保有する特許を使わせてもらうことになったと。

2019/07/03「ScaleMP and TidalScale Reach Patent Licensing Agreement and Settle Patent Dispute

ScaleMP™ and TidalScale announced today that the two companies have settled all litigation between them.

As part of the settlement, TidalScale has taken a paid-up five-year license to ScaleMP’s patent portfolio, and all trade-secret claims asserted against TidalScale, Dr. Ike Nassi and Dr. David Reed have been resolved without payment or admission of liability.

2019/07/03 ScaleMP「TidalScale has taken a paid-up five-year license to ScaleMP’s patent portfolio」(内容は上記と同じ)


2020/03/10追記

そういえば新バージョンって出たのかな?と調べて見たら2019/09/12付けでversion 3.0が出ていたらしい「TidalScale Announces Breakthrough Flexibility and Performance for In-Memory Applications with Third Generation Software-Defined Server Technology

いままで外部ストレージはiSCSIのみ対応だったのが、FCストレージにも対応した。

という点以外は、めぼしい機能改善はない感じ・・・冗長性関連の問題ってちゃんと対応されてるのかな?

特に巨大データベース運用時にノードが死んだとかの場合の対応策とか、どうなったんだろうか・・・

Machine Learningが・・・とか言ってるのは以前から掲げているもので、複数のサーバで分割処理する際、RAM上のデータとCPUリソースが同じサーバ上に存在するように調整を行う、というのにMLを活用する、って話だと思われる。


2022/04/18追記

2021/12/01にscalemp.com にアクセスしたら下記の表示となっていた。

画像

調べて見ると2021年6月頃にSAPに対してvSMP MemoryOneが売却された、という話があった。

Israel Financial Insider 「POOR EXIT: SCALEMP WAS RECENTLY SOLD TO SAP FOR A SMALL AMOUNT AND MUCH LOWER THAN INVESTED IN」(2021/06/04)

The startup company ScaleMP was recently sold to SAP for a small amount and much lower than what has been invested in it so far. This is a failure of a start-up company that aimed for much higher amounts, a move that did not succeed.
Scale MP is a relatively old company in the startup market. It was founded in 2003 by Shay Poltheim and Rabbi Zlotogorsky, and engaged in the optimization and acceleration of computer resources through virtualization, ie running several machines on one computer.
Over the years, the company has raised a total of about $ 36 million when the last round was raised in August 2017, when the company raised $ 10 million led by Leumi Partners. Over the years, the company has also invested in the following funds: Sequoia Israel, Lightspeed Israel, ABS Venture, Aviv VC, and TL Ventures and Evolution, as well as the private investors: Dan Barnea, Yehiam Yemini, Amiram Levinberg, Rami Lipman.
At the last recruitment, Yaron Bloch, then CEO of Leumi Partners, said: “ScaleMP is a growing and leading company in its field and its activity is expected to continue to grow thanks to agreements with recently signed manufacturers and additional contracts that are expected to be implemented in the near future.

そして、2022/04/18にscalemp.comにアクセスしてみると、アクセスできないことを確認した。

買収したと言われているSAP社側で何かないか調べて見たところ、学生向けのインターンシップの募集に「our product vSMP MemoryONE」という文面が含まれていた。

Product Management Intern – SAP Cloud Virtualization Software-Design and Development

We are proud and excited to offer a Student/Intern position in our Raanana office for technology-savvy students interested in Product Management Internship .
The Cloud Virtualization Group recently joined SAP, and our product vSMP MemoryONE is the leader in virtualization for in-memory computing. The group’s innovative architecture significantly reduces cloud cost by virtualizing NVM as system memory.
In this role, you would be reporting to the Chief Product of the Cloud Virtualization Group.

Our Student/internship program is designed to be an authentic reflection of what it means to be an integral part of SAP. This is achieved through our hands-on, long-term program, structured to build a foundation of industry knowledge while personal and professional growth is facilitated through collaboration, exploration, and mentorship. From weekly online hands-on courses and training, through “lunch & learn” sessions, to our Product Lifecycle Experience, we believe in connecting you to various aspects of the company and group so you can truly evaluate potential career paths within the work we do.

TidalScaleの方は2022年現在もとりあえず生きてはいるようだ。

youtubeに2022/04/09にいくつか動画があがっており、いくつか見てみたところ TidalScale 4.0というバージョンになったようである。

まず、TidalGuardという仕組みが追加されて物理サーバの交換に対応できるようになっていた。

ただ、これは物理サーバが死ぬ前に安全に交換するための技術であり、クラスタを構成する物理サーバが突然死した場合には対応できないように読める。

2022/04/12には「TidalScale’s Software-Defined Server Technology Now Available on AWS」というリリースが出ており、AWS上で複数のインスタンスをまとめて1つのインスタンスのように扱えるように出来るらしい。

AWSを使ってもメモリ空間24TBを確保できるよ!というあたりを売りにしているようだ。

また、「TidalScale Software-Defined Servers on IBM Cloud」(2022/01/13)ということでIBM Cloud上でも提供しているようだ。


2023/03/17 追記

久しぶりにtidalscale.com にアクセスしてみたところ下記の表示が・・・いつの間にかHPEに買収されていたとは

tidalscaleのIke Nassi’s Home Page によると「HPE acquired TidalScale’s products and intellectual property in December 2022.」とのこと


2023/10/03 追記

URL http://www.tidalscale.com/ にアクセスすると、 hp.com と同じIPアドレスが返されるものの、コンテンツが設定されていないようです。 https だとSSL証明書に tidalscale.com が含まれていない状態でした。

Delux T11 Designerを日本語キーボード環境で使えるようにカスタマイズ


Windowsでは通常設定だと繋いでるキーボードの配列は1種類しか選択できない。

日本語キーボード環境だと、英語配列のキーボードを繋いでも日本語配列として扱われてしまうことになる。

で・・・Delux T11 Designerはどうやら英語配列キーボードとして認識されていることを前提とした作りとなっているようだ。

このため、レジストリをいじって英語配列キーボードであると認識させる必要がある。

レジストリエディタ(regedit)を起動して、以下の2箇所にパラメータを設定します。

1箇所目

「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Enum\HID\VID_1017&PID_A001&MI_00\7&<つなぐUSBポートによって値が変わる>&0&0000\Device Parameters」に
DWORD32形式で新しいキー「KeyboardSubtypeOverride」を値「0」
DWORD32形式で新しいキー「KeyboardTypeOverride」を値「4」

2箇所目

「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Enum\HID\VID_1017&PID_A001&MI_01&Col04\7&<つなぐUSBポートによって値が変わる>&0&0003\Device Parameters」に
DWORD32形式で新しいキー「KeyboardSubtypeOverride」を値「0」
DWORD32形式で新しいキー「KeyboardTypeOverride」を値「4」

これを設定してから、再起動をします。

そうすると、saiで拡大縮小ができるようになりました。

なお、下記のサイトを参考にしました。

ほげほげー「Windows で US 配列と JIS 配列を共存させたい
202122「USB英語キーボード付けた。(英語、日本語キーボードの共存、KeyboardTypeOverride)

AmazfitからMIPSコアのIngenic M200Sを搭載したAndroidベース腕時計 Amazfit Verge登場



最近、中国のMIPSコアベンダIngenicのSoCを搭載しためぼしい製品ってなかなかないなぁ・・・と思ったら
Amazfitから「AMAZFIT 智能手表」というものが登場

AndroidベースのAmazfit OSを使っているそうだ

SIMにシールをはるだけでモバイル決済ができるというDigiTallyのその後の調べて見た



2016年に「SIMにシールを貼るだけで電波の届かないところでも携帯で支払いできる技術」とか「SIMカードにシールを貼るだけで電波の届かないところでもモバイル決済が可能になる「DigiTally」」という記事になっていた「DigiTally」。

どちらの記事でもSIMの方が重要そうな書きっぷりですが、当時確認できた資料を見る限りでは「DigiTallyについて調べてみた/overlay SIMが重要なのではなくSMAPsが重要っぽい」ということで記事を書いていました。(gigazineの記事が公開されるより前に記事にしてます)

その後、続報を聞かないなぁ、と調べて見ました。

まず公式ページ「DigiTally
ほぼ変化がないが下記の記述が増えている

We collaborated with researchers from Strathmore University (Nairobi, Kenya), and I made the trip to evaluate the prototype and visit rural areas of Kenya in August-September 2016. Our paper summarising the results of a pilot study was accepted to the Symposium on Usable Privacy and Security (SOUPS), the leading security usability event, which I presented at SOUPS 2017 in Santa Clara, California in July 2017.

More information is available on our Security Group’s blog.

2016年8月~9月にケニアでプロトタイプの実験をして、2017年7月にカリフォルニアで行われたシンポジウムで論文発表した。
とある。

全体的な決済の仕組み

テスト環境はNOKIA 130(2014年バージョン)を使用、
送信者・受信者・金額をベースに8桁数字のコードを生成し
それをお互いに直接入力し合うことにより、整合性を取り決済を完了させる
というものだった。

ユーザ数が多くなった場合、8桁の数字で成り立つんだろうか???

ケニアのプロトタイプの実験というのは、販売者3人、購入者12人を用意して行ったようだ。

で、各販売者が60決済するような感じで、購入者側ががんばって決済を試みる、という感じで行っている。
8桁の入力エラーがいろいろ発生して、決済には30秒~1分かかるような感じであったようだ。

で・・・・このDigiTallyについての続報は無い。

が、「offline mobile payments」で調べると、いくつかサービスが開始されている
・「OyaPay – Offline mobile payment for Africa
  別途持っているデビットカードとリンクして、その中の残高をやりとりできる仕組み
  仕組み自体は、DigiTallyと似ているような感じで、Android/iOS上にアプリをインストールして使う
  最近リリースされたようで、iOS用はまだ審査中
・「PaySe – A Digital Wallet with Secure Offline Payment Solution
  LCDとキーパッドがついた専用のカードを使い、カード単品でコード入力する仕組み
  2016年にサービスインしているようだが、あまりうまく行ってなさそうな感じ