DECTについてまとめた 2013/09/27版

最近、「1.9GHzを使うDECT形式だから、無線LANや電子レンジと競合しない!」というのを売りにしたコードレス電話が、お店で販売しているものの主流になりつつある。

このDECTについて、このblogではこれまで、下記の様な感じで紹介をしている。
DECT仕様のコードレス電話(2011/08/29)
DECTの違いに注意のこと(DECTは国によって周波数が違うよ(2013/07/31)
ここらで書いた記述を元にいろいろ付け加えてみた。


まず、DECTについてざっくりと説明すると海外で使用されているコードレス電話で、ヨーロッパの規格ETSI(日本で言うJISとかそんな感じ)が1988年から制定を開始し、1991年に初版が発行されたコードレス電話の規格「Digital Enhanced Cordless Telecommunications(DECT)」となります。

この規格の上では、使用できる周波数帯域は「1880MHz to 1980 MHz」「2010 MHz to 2025 MHz」というぐらいの大まかか感じでしか制定していません。

実際に使用する周波数帯域の詳細については、各国の事情に合わせて行うことになっており、下記の様にそれぞれの国にて制定されています。

・ヨーロッパ 1880 MHz~1900 MHz
・アメリカ/カナダ 1920 MHz~1930 MHz
・南アメリカ 1910 MHz~1930 MHz
・中国 1900 MHz~1920 MHz
・日本 1893 MHz~1906 MHz

つまりは、「ヨーロッパで買ったDECT機器」と「アメリカで買ったDECT機器」と「日本で買ったDECT機器」というのは、それぞれ違う周波数帯を使っているため、DECTといっても相互間で使える、というわけではありません。

そのため、厳密には・・・

・ヨーロッパETSIによる「DECT」(1991年規格制定,1993年頃より製品リリース)
・アメリカFCCによる「UPCS(Unlicensed Personal Communication Service)準拠のDECT」(2004年制定,2006年発売)
・日本の「J-DECT」(2010年発売)

というような感じで分かれていたりしますが、シェアが見込まれるためヨーロッパとアメリカの両対応になっているDECT機器が多く見受けられます。
見分け方はスペック表で、対応周波数帯に「1880 MHz~1900 MHz, 1920 MHz~1930 MHz」と、両方の周波数帯が書いてあれば、両対応となります。

海外製品で日本に対応している、という製品は、現状ありません。
「周波数帯が違う」という問題以外にもいろいろな問題があるので、対応されることも、あまり期待できないでしょう。

・回線の細かいパラメータが国によって違う(SLIC Setting)
 基本的には日本は安定しているので、大抵は問題ないものの・・・

・発信者番号表示の方式が違う(Caller ID Scheme)
 このCaller ID Schemeは、国や電話会社によって違う

・漢字とかを表示する能力が無い

まぁ、ここらへんのことは、海外のVoIP機器を使おうとすると、良くでてきたりする項目になります。

今後、日本で発売されるコードレス電話はJ-DECTのみ、となっていくでしょう。
DECTではデータ通信ついても定義されています。

製品例としては、すでにパナソニックから、ドアモニターでの動画データの送信、とか、ホームスマートフォンとかがあります。

どんどん、いろんな商品が出てくるでしょうね。

参考文献
デジタルコードレス電話の新方式導入のための技術的条件の策定について
情報通信審議会 情報通信技術分科会 小電力無線システム委員会 報告(案)

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