vSphere 5.5リリース

現在、VMware world 2013が開催中。
毎年、ここで新バージョンのvSphereが発表されています。

今年も当然、新しいものが発表されました。
仮想化の基本基盤としてのVMware vSphere 5.5です。

それでは早速What’s Newを見てみましょう。
What’s New in VMware vSphere 5.5 Platform

いろいろありますが、個人的に気になる点は以下の2つ。

・無償のvSphere Hypervisorにあったメモリ32GB制限が無くなった
ライセンスを買わなくても使えるvSphere Hypervisorに存在していた物理メモリ32GB制限が撤廃、というのは驚きました。
ちょっと緩和しすぎなんじゃ?とか思わなくもないです。

・「vSphere Flash Read Cache」というSSDを使ったリードキャッシュ機能
vFlashという名称で開発されていたものが「vSphere Flash Read Cache」という名前で標準搭載。
Enterprise Edition以上じゃないと使えないのかな?というところがありますが、ストレージアプライアンスみたいに、3rdパーティーでそういうのが登場してがんばろうとした矢先に、標準搭載してくる、という図式は相変わらずですね。
Proximal DataおよびPernix Dataとの相違点はどう出てくるのかな?と。

その他、いろいろな変更点が・・・

・いろんな新機能に関する操作はvSphere Web Client必須
昔ながらのvSphere Clientアプリケーションでは新機能が使えない。

・ESXiが暇な時にCPUをC-stateという省電力モードに移行させる機能をサポート

・サーバの物理メモリ最大量が4TBに(いままでは2TB)

・VMDKファイル(ディスクイメージ)が2TBを突破し、最大62TBに

・仮想マシンハードウェアバージョンが10に

・PCIe接続のSSDディスクに対するhot-add, hot-removeサポート
要は壊れても無停止交換ができるよ、と。

・vGPU機能拡充
vSphere 5.1からvGPUという仮想マシンに直接GPUデバイスを割り当てる機能がnVidia向けに提供されていたが、5.5からはIntelおよびAMD Radeonもサポート
モードが3つあり、Software,Hardware,Automatic。
制約事項がいろいろあるが条件がそろえばvMotionも可能

・Linux VMでのグラフィックアクセラレータ機能
いままでWindows VMでしか有効にならなかったグラフィックアクセラレータ機能がLinuxでも有効に
ただし、Ubuntu 12.04, Fedora 17, RHEL7以降のみ

・vSphere App HAという、簡単なアプリケーション監視を含めたHA機能サポート

・WindowsServer 2012 VM上でのMSCSサポート

・vSphere Replicationというソフトウェアでストレージのレプリケーションを行う機能の拡張実施

他にもいろいろあるようですね。

Proxmox VE 3.1のリリースおよびソフトウェア更新に変更あり

うちの環境で使用しているProxmox Virtual Environment(Proxmox VE)に、最新版のProxmox VE 3.1が出た。
Proxmox Virtual Environment 3.1 Released

大きな変更点がある。

5月リリースのProxmox VE 3.0で、ベースOSがDebian 7.0 (Wheezy)に切り替わり、それに伴いいろんな変更があった。

今回のProxmox VE 3.1では、Release Historyでは記載されていないが、リリース告知では記載されている重大な変更点がある。

それは「Enterprise Repository」の開始である。

New Enterprise Repository
Proxmox Server Solutions – maintainer of the Proxmox VE repositories – introduces two new package repositories named “pve-enterprise” and “pve-no-subscription”. Beginning with Proxmox VE 3.1, the default repository is the Proxmox VE Enterprise repository. It allows secure access to stable updates, security patches and bug-fixes and is available to subscription users only. Proxmox VE users who do not want to use the subscription service can access the packages via the “pve-no-subscription” repository. These packages are not heavily tested, therefore the No-subscription repository is not recommended for production servers.

いままでは、サポートを買わなくても、ソフトウェア更新は普通にあるし、特に問題を感じなかったのですが、さすがにアレだったようで、「無償ユーザ向けソフトウェア更新(Proxmox VE No-Subscription Repository)」と「有償ユーザ向けソフトウェア更新(Proxmox VE Enterprise Repository)」に分割されました。

Proxmox Wiki「Package repositories」から実際のpve-no-subscriptionで配布されているソフトウェア一覧を見てみると、無償ユーザであっても基本的な機能は提供される模様。
有償ユーザ向けには、どのようなソフトウェアが配信されるのかは、特に記載が見当たらないというのが謎です・・・

有償ユーザには、どれくらいの金額からなれるのか確認してみると、「Subscription Plans」によれば、最低ラインは「Community Edition」で月額「1CPUあたり4.16ユーロ」とのこと。
この価格は、Proxmox VE 3.1リリースに合わせて半額以下になっています。(いままでは、月額「1CPUあたり9.90ユーロ」)

とりあえずは無償ユーザでProxmox VE 3.1へのアップデート実施かな・・・と


2013/09/05追記

Details about the new pve-no-subscripton repository

SSDを仮想環境のストレージキャッシュとして使うプロダクト(IBM,Fusion-IO,ProximalData,PernixData)

2021/04/07追記

Fusion IO → 2014年にSanDiskに買収。SanDisk Flashsoft(終了済)
ProximalData AutoCache → 2014年11月頃にSamsungに買収? Samsung ProximalData(終了済)
PernixData FVP→ 2016年にNutanixに買収された(2019年EoL)
OCZ → 2013年に東芝に買収されたあと、2019年に東芝メモリがKIOXIAになったが、移管されなかった?

また、VMware vSphere純正として登場したvFlash Read Cache。なんと、2019年にvSphere 6.7 Update 2で終息してしまった。vSANで分散ストレージ作ればいいでしょ、ということになったようだ。

では、2021年現在で提供されているESXiサーバ側でストレージキャッシュを持つような似たようなプロダクトとして何があるのか?

Virtunet Systems社「VirtuCache」で、ESXi 7.0U2のコンパチにも掲載されている

ぐらいしかないらしい。


サーバ本体に入れたPCIe接続のSSD(Fusion-IOなど)や、普通のSSDなどを、ストレージキャッシュとして使おうというソフトウェアをIBMが出してきた。

IBMプレスリリース:「仮想化環境の高速な処理を実現するFlashCache Storage Accelerator
クラウドWatchでの紹介記事:「日本IBM、フラッシュメモリを用いて仮想環境での処理を高速化するキャッシュソフト

これと類似のソフトウェアというのは、すでにいくつか製品がある。

Fusion-IO ioTurbine
 これはFusion-IO専用
 高速化をはかれるストレージは「Designed for all major SAN and NAS storage systems」とあるので
 FC/SAS/iSCSI/NFSなのかな?と思われる。
 vSphere ESXi用にインストールして使う

ProximalData AutoCache
 Fusion-IO,LSI Nytro WarpDriveなどのPCIe系や、普通のSSDに対応
 高速化をはかれるストレージは、FC/SAS/iSCSIハードウェアイニシエータ/iSCSIソフトウェアイニシエータ
 そして、NFS、と多岐に渡る。
 評価中だけど、特に問題はなさげ。
 vSphere ESXi用にインストールして使う

PernixData FVP
 Fusion-IO,LSI Nytro WarpDriveなどのPCIe系や、普通のSSDに対応
 高速化をはかれるストレージは、FC/SAS/iSCSIとある。
 評価してみようと手配中・・・
 vSphere ESXi用にインストールして使う

今回のIBM FlashCache Storage Acceleratorの特異な点は「FlashCache Storage Acceleratorは、VMware ESXi 5.0/5,1および、Windows Server 2008/2012、Red Hat Enterprise Linux 5/6に対応しています。」という点かも?
これが、Hyper-VとKVMの仮想化環境にも対応しているという意味であれば、他ではない特徴と言えますね。

・・・ほんとにそうなのかな????
FlashCache Storage Acceleratorの製品ページは日米ともにないので、詳細がよくわかりません。


2013/08/21追記

 

IBM FlashCache Storage Acceleratorは、Fusion-ioのioTurbineをベースとし、Fusion-IO以外の製品にも対応させたもの、だそうです。

IBM US側で製品ページ「IBM FlashCache Storage Accelerator」も公開されました。
ただ、ここに掲載されているデータシートの対応システムには、「VMware ESXi 5.0, ESXi 5.1」という記載のみ。
ほんとに、Hyper-VやKVMに対応するの???


2013/10/22 追記

 

SANRAD VXL SoftwareおよびOCZ VXL VMware Acceleration
 SANRAD社が開発したものを、FlashストレージベンダのOCZが買収してるもの
 この製品はESXi向け
 SANRAD社の方の資料を見ると、FC/SAS/iSCSI/NFS全般に使用できるようだ。
日本だとASK社取扱で、そのページには「VMware ESX、Citrix Xen、Microsoft Hyper-V対応」って書かれているのが謎。
 OCZ社のページだと、「VMware ESX」としか書かれてない。

KindleストアにてvSphere 5.0と4.1のHA/DRSなどに関する電子書籍が0円!

YELLOW BRICKにて「Reminder: Free Kindle copy of vSphere 5 and 4.1 Clustering Deepdive」という記事がアップされてた。

見てみると、6/5と6/6は、Kindle版の「vSphere 5.0 Clustering Deepdive」と「vSphere 4.1 HA and DRS Deepdive」が0ドルだと。

日本でもやってるのかな?と見てみたら、やってるじゃないですか!

いそげっ!

SSD+SATAのハイブリッドストレージ Nimble Storageについて調べてみた

Nimble Storageというストレージプロダクトがあるらしい。
それについて調べたことを書いてみる。
うたい文句をみるとTintri VMstoreと似てる感じがするなぁ・・・と思いつつ内容を調査した。

なお、これは以前書いた「Nimble Storage」という記事についてのアップデートです。
簡単に言えば、書いた記事には誤りがあったための更新ついでに、競合との比較です。

Tintri VMstoreと大きく違う点

・Nimble StorageはiSCSIストレージ
 汎用的に使えるiSCSIストレージ
 VMware/Hyper-V/通常のWindows/Citrixで使える
 TintriはNFSストレージで、さらにVMware以外は公式にサポートしない

・SSDはRead Cacheとして使用
 実体は全てSATA HDD上に置かれている
 Tintriは、SSDとSATA HDDのどちらかに置かれており、必要に応じて自動的に移動する

・Web GUI以外の管理手法が完備されている
 SNMP MIB、CLI操作が使える
 Tintriは、Web GUI以外に無い

・vSphere関連のプラグインが一通り揃っている
 VAAI, vSphere Client plugin, SRM pluginがある。
 2013年5月現在TintriはVAAIのみ

・VSS連携も可
 WindowsのVolume Shadowcopy Serviceとの連携も可能

・レプリケーション機能を初期リリースからサポート
 Tintriは、最新のver2.0でサポートのはずだが、2013年5月現在入手できず。

・容量拡張手法がいくつかある
 容量が足らない→Shelf増加(パフォーマンス低下は無い)
 パフォーマンスが足らない1→SSDの容量アップ(オンラインで実施可能)
 パフォーマンスが足らない2→システム追加+クラスタ化
 Tintriの場合、「システム追加」しかない

・複数システムをクラスタ化できる
 複数のNimble Storageを1システムの様に取り扱うことができる
 ユーザはNimbleを使い分ける、ということを意識する必要は無い
 Tintriの場合、明示的に使い分ける必要がある。

・Web GUIからシステムアップデートができる
 Web GUIからシステムアップデートができる、というのは良くあるが
 アップデートするバージョンを複数から選択できる、というのは珍しい。
 最新は嫌、とか、導入済みのものと合わせたい、という場合に便利。
 Tintriは、本体にキーボードとUSBメモリを取り付けて、コンソール操作でのアップデート。

細かな話

・実データをHDDに書くけど遅いんじゃないの?
もちろん、まともに書くと遅いので、うまくごまかしています。

書き込まれたデータはある一定サイズになるまで、メモリ(NVRAM)上にため込まれます。
既定サイズを超えたら、データ圧縮をおこない、HDDに書き込みます。
ここで既定されているサイズは、SATA HDD 11本で構成されたRAID6に書き込む際に、最速シーケンシャルwriteになるように設定されている。(以降「writing block」と呼びます。なおこの表記はオフィシャルではありません)
つまり、速度が落ちるランダムwriteを排除している、ということになる。

・データ書き換え時ってどうしてるの?
データが書き換えられた時は、書き換え後のデータは通常のwriteデータと共にメモリ上にため込まれます。
そして、通常の書き込みプロセスと同様にwriting block単位で圧縮書き込みされます。
書き換え前のデータは不要になりますが、これはひとまず、メタデータ上のみで無効化されます。
その後、システム負荷を見計らいつつ、データ再配置処理がおこなわれ、空き領域が回収されます。

・え?データは圧縮されてるのに、再配置ってどうやるの?
はい、データが圧縮書き込みされているので、単純な再配置処理ではありません。
再配置は、不要になったデータが含まれているwriting block単位でおこなわれます。
まず、writing block内にある有効なデータをメモリ上に読み込みます。
この読み込んだデータと、通常のwriteデータを合わせて、新規のwriting blockとして、ディスクに書き込みをおこないます。
その後に、元々のwriting blockを無効化し、再利用可能状態にします。

・SSDを冗長化してないけどいいの?
キャッシュでしかないので問題ない。
壊れたらそのSSDを使わなくなるだけで、他のSSDを使って改めてキャッシュされる。
SSDを交換したら、改めて使用される。

・いろいろモデルがあるけどどういう違い?
CS2xxとCS4xxは、CPUの違い
CS220/240/260およびCS420/440/460は、それぞれSATA HDDの容量の違い。
Baseモデルとx2 Flashモデル、x4 Flashモデルの違いは、4本入っているSSDの容量の違い。
例えば、CS220のBaseモデルだったら80GB SSDが4本で320GB、という感じ。

・複数Shelfとかクラスタを組んだ時とかってデータ配置どうなるの?
初期配置としては、均等になるようばらばらに割り振る。
使っていくうちにデータ使用量の偏りが出てくる。
そのような場合は、Re-balance処理が実施され、均等になるように再配置される。
Re-balance処理は低プライオリティで実行されるためパフォーマンス影響は少ない。

・いい資料が見付からないんだけど
Nimble storage Communityを探すといろいろ出てくるよ。

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