単3電池駆動の携帯電話SpareOneの3Gモデルが登場していた


以前紹介した単3乾電池で駆動するGSM携帯電話SpareOneの3Gモデルって、どうなったのかな?と情報を確認したところ、いつの間にか発売されていた。

製品ページ「SpareOne Emergency Phone (3G)
アメリカのAT&Tのみに対応しているようだ。

探したらASCII.jpで話題になっていた「年25ドルで使えるAT&Tの非常用3G電話がステキ(2015/11/19)

なお、上記の記事では対応周波数に誤りがあり、正しくは下記であるようだ。

GSM 850/900/1800/1900 MHz
UMTS 850/1900 MHz

(マニュアルの26ページより)

AT&T専売なようで、AT&TのSIMとセットで販売されているようだが、SIMロックされているのかどうかは不明。
なお、AT&TのUTMS 850MHzと1900MHzというのは日本とは互換性がない帯域なので、日本では使用できない。

Facebookが作るLTE対応のOpenCellularプロジェクト


毎度のcnx-softwareで情報入手。
OpenCellular is Facebook’s (soon to be) Open Source Wireless Access Platform

Facebookの偉い人である「Mark Zuckerbergさんの投稿」によりオープンソースプロジェクト「OpenCellular」がアナウンスされました。

この投稿ではかなりざっくりとしたことしか書かれていませんが、その後、Facebookのcode blogに詳細記事が掲載されました。
Introducing OpenCellular: An open source wireless access platform
facebook-opencelluar

最初、携帯基地局のプロジェクトかと勘違いしたのですが、WiFi APに2G(GSM)~LTE対応の携帯網接続機能を搭載してばらまこう、というプロジェクトでした。

「Radio部」と「General-baseband computing (GBC)部」の2つにコンポーネントを分け、Radio部は最近はやりのSDR(software-defined radio)だったり、SoC(system on chip)を使った構成とし、ソフトウェアにより細かい制御を行い、ハードウェア部分の専門性を極力排除。
また、GBC部もRadio部も、各部の仕様を、PCサーバの「Open Compute Project(OCP)」と似たような感じで定義し、1社だけではなく、複数社からも調達がでいるようにしていこう、という意欲が見え隠れします。

ただ、インターネットへのアクセスが弱い地域に向けて、ということらしいのですが、結局のところ携帯電話回線を使うので、むやみにばらまかれると携帯電話会社が困るだけのプロジェクトのような気がするのですが、どういう風に展開する気なのかなぁ・・・と・・・

インプレス記事に見る「技適」を理解してないやつ


インプレスが「日本マイクロソフト、独自に「Lumia 830」の技適を取得し、社内利用へ」という記事を出した。

初出時

具体的には、Lumia 830において総務省令で定める技術基準適合証明を取得し、技適マークを付与している。
<中略>
日本マイクロソフトによると、今回、Lumia830が技適マークを取得したことで、海外で販売しているLumia 830も一般個人で輸入したり、企業が独自に導入しても、同機種に限定して、日本で通信利用ができるようになる。

というあほな記述をしていた。

典型的とも言える「技適」と「技適等」の違いが分かってない記載です。

1年ほど前に「技適はいくらかかるのか?」にも書きましたが、一般的に「技適」と省略して言われているものについて、総務省では「技術基準適合証明等」や「技術基準適合証明又は工事設計認証」と表現しています。
スマホにつける「技適マーク」も正式には「特定無線設備の技術基準適合証明等のマーク」という表記になります。(総務省:技適マークのQ&A)

つまり

「技適マーク」=「技術基準適合証明マーク」or「工事設計認証マーク」
です。
また、「技適等」は「技術基準適合証明または工事設計認証」の省略形表現です。
(最初「技適マーク」=「技術基準適合証明」+「工事設計認証」としていたんですが、両方必要、という意味に捉えた人がいたので「or」表現に変更)

なんで2種類あるのかをざっくりとまとめてしまえば、「できあがった無線機を個別に検査して取得する技術基準適合証明」と「設計から製造まで含めた工事設計認証」ということになります。

それぞれ費用が異なり、100台とかだったら技術基準適合証明の方が安く、量産するのであれば工事設計認証の方が安くなります。

「技術基準適合証明」の方は、1台1台個別の番号が付き、それを本体に貼り付ける必要があります。
このため、通常はシールとなります。

「工事設計認証」の方は、一括の番号です。
なので、シールや印刷で本体に貼り付ける以外に、AndroidやiPhoneなど電磁的な表示、というのが可能になっています。

で、今回のマイクロソフトの件。

具体的には、Lumia 830において総務省令で定める技術基準適合証明を取得し、技適マークを付与している。

とあるように、取得したのは特定の個体に対して出される「技術基準適合証明」である。

なので、その後段に書いてあった

日本マイクロソフトによると、今回、Lumia830が技適マークを取得したことで、海外で販売しているLumia 830も一般個人で輸入したり、企業が独自に導入しても、同機種に限定して、日本で通信利用ができるようになる。

という自体は、そもそもあり得ないのである。
だって、日本マイクロソフトが、台数決めて取得した技適のシールを貼り付けてないわけですしね。

で・・・
ついでですが・・・

こういう話になると毎度毎度「技適が悪い」とか「技適は非関税障壁」とか言う人が出てきますが
「SIMフリーフォンであれば<合法的に>諸外国で使える」と思っているんでしょうか?

違います。

SIMフリーフォンは、あくまで使用できるSIMの制限がない、というだけで、使用できる国については制限があります。

SIMフリーフォンであっても、その電話機を実際に使う地域での電波的な認証が通ってないものを使うと、違法になります。

「FCCを取得してないとアメリカで使えない」「CEマークがないとEU圏で使えない」とか、
基本的にメジャーな国、地域であれば、そこの電波的な認証を取得していないで使うと違法です。
携帯電話の場合、出力が小さいので、見逃されているだけに過ぎません。

FCC、CEについては、ユーザ数が多く見込まれるため、取得している可能性が高いですが、
ほんとに取得しているかは、本体を見て確認する必要がありますよ。

 


総務省の資料から参考になりそうな資料

出典1「 第4回貿易・投資等WG 資料1-3(その2)

出典2「我が国における無線設備の 技術基準認証制度の最新動向と市場監視」(平成27年10月)


出典3「各国基準認証制度の概要」(平成22年3月)

諸外国での無線機器の認証を得るための手続きについて詳細

出典4「 各国の基準認証制度の概要 -MRA情報の調査に親しむ- 」(平成24年3月)

各国で無線機器を発売する際に必要となる認証についてまとめたもの

OpenBTSという携帯基地局を作るためのソフトウェアに関する電子書籍が無料配布中



OpenBTSという携帯電話の基地局をオープンソースで作る、というプロジェクトがあります。

開発主体は、「RangeNetworks」で、Software Defined Radioということで、電波を出すためのハードウェアと、ソフトウェア周りをまとめた形の開発キットで販売中です。
Professional Development Kit $2,300

この値段が安いのか高いのかよく分かりませんけど・・・

上記の開発キットは、GSM/GPRS対応の2G用ですが、ソフトウェア側は、UTMS(3G)にも対応したものが2014/10に出たようです。

2014/10/17:「OpenBTS-UMTS 1.0 for data available for download!

ソースコードはgithub上で公開されており、「OpenBTS(2G)」と「OpenBTS-UMTS(3G)」の2種類があります。

で、この度、O’REILLYからGetting Started with OpenBTSという書籍が発刊されるようなのですが、「Free eBook Downloadキャンペーン」を行っています。

GSM/GRPSの方のバージョンについての書籍ですが、基地局に関して興味があるのならダウンロードしてみてもいいのではないでしょうか?

携帯電話700MHz/900MHz帯の現状について(メモ



携帯電話の700MHz/900MHzを使うために、同じ周波数を使っているユーザを追い出すための支援策が、どこまで進んでいるのか、現状がないかなーと総務省のページを見に行ったら、2014年3月末の状況が発表されていた。

700MHz帯における終了促進措置に関する実施状況の概要と確認の結果(平成25年度第4四半期)(平成26年6月17日)
900MHz帯における終了促進措置に関する実施状況の概要と確認の結果(平成25年度第4四半期)(平成26年6月17日)

まぁ、どこも遅延中、といったところ。
果たしてサービス開始はどうなることやら・・・

<700MHz>
どうやら3社(イーアクセス/ドコモ/au)で、費用を共同負担して実施しているようで、各社資料を比較しても、実施状況の現状が全く一緒だった。

・番組素材中継用無線局
平成26年度末(2015/03)の移行完了を予定していたが。
一部で機器開発が必要になるため、全ての移行完了には1年程度の遅延が見込まれる。

・ラジオマイク
平成26年度末(2015/03)の移行完了を計画しているが、
合意が取れたところが全体の1/4程度(7406/27905)しかないし、
実際に移行完了したところは10しかない。

<900MHz>
ソフトバンクの単独使用なので、報告書はソフトバンクのみ。

認定時の「平成25年度末(2014/03)までに移行完了する」は達成できませんでした。

・免許が必要なRFIDについて
免許が必要なRFIDの以降が完了しなかった理由は以下のものだそうです。

終了促進措置の実施(廃局を含む)については、全体の99%に合意していた
だきましたが、 例えば、(1)後継機種の開発・製造の遅延、(2)業務停止不可等
によるスケジュール調整の難航、(3)免許人都合による協議中断(組織体制変更、
人的リソース等の理由)、(4)後継機種がないことによる他後継機種選定の難航、
(5)免許人による継続利用希望、(6)RFIDに関連する他システム改修の遅延
等の事情により、本四半期までに終了促進措置の実施が完了しなかった無線局
があります。

・免許が不要なRFIDなどについて
免許不要だから、いまも使われてるかどうかわかんない機器多すぎ。
メーカ出荷台数を元に数をカウントしてたんだけど、いままで、使用者や使用場所が不明なやつを「協議中」に含めてたんだけど、注意されたので今回の集計からは「協議開始前」に分類します。
(なので、協議開始前の台数が平成25年12月末「2058台」から平成26年3月末「89559台」と大幅増)
rfid免許不要

・MCA無線(タクシー無線など)
端末(各タクシーなどに置く方)についてはだいたい終わった(98%)。
残り2%は、顧客都合とか、納入機器都合(バグや納期)などで遅延している。

基地局側は、上記の2%が終了次第停止できる予定。